営業活動において、トークスクリプトは欠かせないアイテムです。しかし、ただ伝えたい内容を羅列しただけでは、効果的なスクリプトにはなりません。
そこで本記事では、法人向けや個人向けなど、ターゲットに応じたスクリプトの作り方のコツを解説。業界ごとに異なるポイントや、スクリプト作成時の注意点もご紹介します。
これらを押さえることで、アポイントの取得率や成約率を格段にアップさせる効果的なスクリプトを作り上げましょう。
目次
テレアポのトークスクリプトとは
テレアポのトークスクリプトとは、アポイント獲得を目的とした台本です。顧客との会話の流れや伝えるべき重要なポイントを整理し、文書化したものです。
これがないと、うまくいった場合にその要因が分からず、逆にアポイントが取れなかった時には何が原因かを把握できません。
適切なスクリプトを用意しておけば、顧客に一貫したメッセージを伝えられ、営業の効率も大幅に向上します。
架電先別|テレアポトークスクリプトの例文
テレアポのスクリプトは、同じ商品を扱う場合でも、法人と個人のどちらを対象とするかで、注意すべきポイントが異なります。
ターゲットに応じてスクリプトを工夫することで、より効果的にアポイントを取得できる可能性が高まります。
- 法人向け(toB)新規開拓トークスクリプト
- 個人向け(toC)新規開拓トークスクリプト
- 法人向け(toB)既存顧客トークスクリプト
- 個人向け(toB)既存顧客トークスクリプト
【コピペ可】電話営業のトークスクリプト例4選
状況別で効果的な4つのトークスクリプトを紹介します。これらのスクリプトは実際の営業現場で効果が検証されたものです。御社の商材やターゲットに合わせてカスタマイズしてご活用ください。
法人向け(toB)新規開拓トークスクリプト
法人への電話営業では、最初に受付担当者が電話を取ることが一般的です。このファーストコンタクトでの印象が、その後の営業活動全体の成否を左右します。受付担当者をスムーズに通過し、決裁権を持つ担当者へと確実につなげるための戦略的なアプローチが必要となります。
法人向け新規開拓では、会社名と担当者名だけでなく、提供価値を簡潔に伝えることが重要です。相手企業のビジネスに具体的なメリットをもたらす可能性を示唆することで、担当者への取り次ぎ確率が大幅に向上します。

【受付突破】 「お世話になっております。企業向けの営業支援ツールを提供している株式会社○○の山田と申します。御社の業務効率化に貢献できるサービスをご紹介したくご連絡いたしました。営業部門のマネージャーの方におつなぎいただけますでしょうか。」
【担当接続後】 「お世話になっております。株式会社○○の山田と申します。弊社は営業活動の効率化を実現するCRMシステムを提供しており、実際に導入いただいた企業様の営業活動時間を平均30%削減した実績がございます。御社の営業活動にも同様の効果をもたらせると考え、ご連絡させていただきました。現在、御社では営業情報の管理にどのようなシステムをお使いでしょうか?」
担当者につながったら、具体的な数字を示した実績と、すぐに質問を投げかけることで会話を続ける流れを作ります。相手の回答に合わせて提案内容を調整することで、より的確なソリューション提案が可能になります。
「Excelでの管理とのことですね。弊社のシステムはExcel管理からの移行がスムーズにできるよう設計されており、データ移行の手間を最小限に抑えられます。また、直感的な操作性と他社と比較しても導入コストの低さが特徴です。もし宜しければ、具体的な機能や操作性について詳しくご説明させていただきたいのですが、15分程度のオンラインミーティングのお時間をいただくことは可能でしょうか?」
アポイント獲得の提案では、ミーティングの所要時間を明示することで、相手に心理的なハードルを下げる効果があります。「1時間」ではなく「15分程度」というように、相手の負担感を軽減する表現を心がけましょう。
「ありがとうございます。来週火曜日と水曜日であれば対応可能ですが、午前と午後ではどちらがご都合よろしいでしょうか?… では火曜日の14時でお願いします。当日は御社の課題解決に向けた具体的なご提案をさせていただきます。」
「ご提案の参考にさせていただきたいのですが、現在の顧客管理で特に負担に感じている点はございますか?… なるほど、データ更新の手間とリアルタイム共有の難しさですね。当日はその点も踏まえたご提案をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。」
アポイント確定後も、追加の質問をすることで相手の課題をより深く理解し、当日の提案準備を充実させることができます。また、このような質問は相手に「自分のニーズが優先される」という安心感を与え、アポキャンセルのリスクを減らす効果もあります。
個人向け(toC)新規開拓トークスクリプト
個人向け営業の最大の難関は、最初の数秒間で相手の興味を引くことです。一般消費者は法人担当者と比較して、営業電話への耐性が低く、瞬時に電話を切る傾向があります。そのため、冒頭で強いインパクトを与えるトークが必要不可欠です。
具体的な数字を用いたり、短時間の協力を求めたりすることで、相手の警戒心を和らげ、会話を継続させる工夫が効果的です。また、一方的な情報提供ではなく、質問を交えることで相手の参加意識を高めることが重要です。

https://docs.google.com/document/d/1DTVdbG-wyjrXegQfDW-ZOYv093K-dkAMoXFSQXZbdp8/edit?usp=sharing
「こんにちは、資産運用アドバイザーの鈴木と申します。今月だけで既に127名の方にご利用いただいている資産形成プログラムについてご案内しているのですが、2分ほどお時間よろしいでしょうか?」
開始時に「2分」と明示することで、相手は「短時間なら」と心理的ハードルを下げやすくなります。また、「127名」といった具体的な数字は信頼性を高め、「多くの人が選んでいる」という社会的証明の原理を活用しています。
「ありがとうございます。突然のお電話で恐縮ですが、一つだけ簡単な質問をさせてください。現在の金融環境について不安に感じることはありますか?… そうですね、多くの方が同じように老後資金について懸念されています。」
質問を投げかけることで、相手を会話に引き込む効果があります。また、相手の回答に共感することで心理的距離を縮め、提案への抵抗感を減らします。
「弊社では、月々5,000円からはじめられる資産形成プログラムを提供しており、年間平均5%のリターンを実現しています。もう少し詳しくお話しさせていただきたいのですが、お時間はいかがでしょうか?」
「30秒だけでも構いませんので、現在の資産運用について簡単なアンケートにお答えいただけませんでしょうか?… ありがとうございます。今後の金融情勢を考えると、堅実な資産形成がますます重要になってきます。弊社の無料資産診断を受けていただければ、あなたに最適な運用プランをご提案できます。」
「断られそう」と感じたときは、時間を更に短縮した協力をお願いする方法も有効です。小さな承諾を得られれば、そこから関係性を徐々に構築していくことができます。
「来週木曜日か金曜日の夕方であれば、お電話またはオンラインでのご説明が可能ですが、いかがでしょうか?… 木曜日の19時ですね。どうもありがとうございます。当日は具体的な運用プランと実績をご紹介させていただきます。」
個人向けアポイント調整では、平日の夕方や土日など、相手が対応しやすい時間帯を提案することが重要です。また、対面ミーティングのハードルが高い場合は、電話やオンラインなど複数の選択肢を用意することで承諾率が高まります。
法人向け(toB)既存顧客トークスクリプト
既存顧客へのアプローチは、新規開拓とは異なるコミュニケーション戦略が必要です。既に構築されている信頼関係を活かし、より具体的な提案や次のステップへの誘導を行います。過去の接点を明確に示すことで、「あなたのことを覚えています」というメッセージを伝え、関係性を強化することが重要です。
受付担当者には過去の接点を具体的に伝えることで、スムーズな取り次ぎを期待できます。また、担当者と話す際も前回のやり取りから始めることで、自然な会話の流れを作ることができます。

https://docs.google.com/document/d/1DIssA0cz-aAIzCl22bm9U53m28zp0PA1RxX9P1LkjUY/edit?usp=sharing
【受付突破】 「お世話になっております。先日御社の佐藤様に資料をお送りした、マーケティングオートメーションツールを提供している株式会社○○の田中と申します。マーケティング部の佐藤様はいらっしゃいますでしょうか?」
過去の接点を明確に示すことで、受付担当者の警戒心を緩和し、担当者への取り次ぎ確率が高まります。
【担当接続後】 「お世話になっております。株式会社○○の田中です。先週お送りした弊社のマーケティングオートメーションツールの資料はご覧いただけましたでしょうか?… 拝見いただきありがとうございます。何か特に気になった点やご質問はございますか?」
資料の感想を聞くことで、相手の関心ポイントや懸念点を把握できます。この情報を基に、的確なフォローアップが可能になります。
「現在のリード管理に課題を感じていらっしゃるとのことですね。多くのお客様から同様のお悩みをいただいております。弊社のツールは特にリードの自動スコアリングと適切なフォローアップのタイミング通知が強みで、営業部門との連携もスムーズに行えます。」
相手の課題に対して、具体的なソリューションを提示することで、提案の価値を高めます。他社の事例に触れることで、実績と信頼性をアピールすることも効果的です。
「佐藤様のチームが抱えていらっしゃる課題に対して、具体的にどのように弊社ツールが貢献できるか、実際の画面を見ながらご説明させていただければと思います。30分程度のオンラインデモのお時間をいただくことは可能でしょうか?」
既存顧客には、より具体的で踏み込んだ提案ができます。「資料送付」ではなく「デモンストレーション」など、次のステップに進めるアプローチが効果的です。
「ありがとうございます。来週月曜日か水曜日であれば対応可能ですが、どちらがよろしいでしょうか?… 水曜日の16時ですね。承知いたしました。デモではリード管理の自動化について重点的にご説明いたします。
「また、もし現状の課題解決ができた場合、ツール導入の検討時期としてはいつ頃をお考えでしょうか?… 今期中の導入を検討されているとのこと、了解いたしました。予算感も含めて最適なプランをご提案させていただきます。それでは水曜日にお会いできることを楽しみにしております。」
アポイント確定後に導入時期や予算感を確認することで、次回の提案内容をより具体的に準備できます。また、相手の購買意欲や決裁権の有無を事前に把握することも可能になります。
個人向け(toC)既存顧客トークスクリプト
個人の既存顧客に対しては、過去の購入体験を活かした親密なコミュニケーションが効果的です。顧客が以前購入した商品やサービスについて言及し、その満足度を確認することで、信頼関係を強化します。また、既存顧客特有の優遇条件を提示することで、次の購入を促進することができます。

https://docs.google.com/document/d/1vGhrqF48-bWHUI7oUtCm_qqPlgqZmhKtbfirXvRK7Ig/edit?usp=sharing
「こんにちは、3ヶ月前に健康食品をご購入いただいた、○○の高橋と申します。いつもご愛顧いただきありがとうございます。前回ご購入いただいた商品はいかがでしたでしょうか?」
購入履歴に基づいた声掛けは、相手に「覚えてもらっている」という特別感を与えます。また、前回の購入商品について質問することで、相手の体験を引き出し、会話の糸口を作ります。
「ご満足いただけたようで何よりです。実は今回、前回ご購入いただいた商品と相性の良い新商品が発売されたのでご案内させていただきました。多くのお客様から『組み合わせることで効果を実感できた』というお声をいただいております。」
前回の購入商品との関連性を示すことで、新商品の価値を効果的に伝えることができます。また、他の顧客の声を引用することで社会的証明を与え、信頼性を高めます。
「この新商品は通常価格8,000円のところ、リピーター様限定で20%オフの6,400円でご提供しております。また、今週中にご注文いただくと、さらに500ポイントをプレゼントしております。もしよろしければ詳しくご説明させていただきたいのですが、いかがでしょうか?」
既存顧客向けの特別価格や限定特典を提示することで、優遇されているという満足感を与えると同時に、即決を促す効果があります。時間制限のある特典は、決断を先延ばしにするリスクを減らします。
「ありがとうございます。新商品は前回ご購入いただいた商品との相乗効果を狙って開発されたもので、多くのお客様から高い評価をいただいております。お届け日は今月末か来月初めでしたら、ご都合の良い日をお選びいただけますが、いかがでしょうか?」
商品の詳細説明に続いて、具体的な配送日の選択肢を提示することで、購入の意思決定を促進します。選択肢を絞ることで、決断のハードルを下げる効果があります。
「来月5日ですね。承知いたしました。ご注文内容の確認のため、お客様情報を確認させていただいてもよろしいでしょうか?… ありがとうございます。それでは来月5日に商品をお届けいたします。今後ともよろしくお願いいたします。」
注文確定後も丁寧な対応を心がけることで、顧客満足度の向上と長期的な関係構築につながります。また、次回の購入機会に備えて、ポジティブな印象を残すことが重要です。
サービス別|テレアポトークスクリプトの例文
提供するサービスの特性に応じて、テレアポのスクリプトは大きく異なり、アプローチ方法や伝えるべき内容も変わります。
各サービスに特化したテレアポトークスクリプトの具体例を紹介します。
- 人材派遣・人材紹介のテレアポトークスクリプト
- 求人広告のテレアポトークスクリプト
- 業務システムのテレアポトークスクリプト
- 不動産のテレアポトークスクリプト
- 保険のテレアポトークスクリプト
人材派遣・人材紹介のテレアポトークスクリプト
人材派遣・人材紹介業界は、営業連絡が来ることが多いため、短時間で的確に情報を伝え、興味を持ってもらうことが、アポイント獲得の鍵となります。
押さえるべきポイント
- 人材派遣:企業のニーズに合う人材と派遣できる人数
- 人材紹介:紹介することができる人材の特徴や業界
営業 「お世話になっております。〇〇株式会社の△△と申します。弊社テレアポやインバウンド営業に特化した人材派遣を行なっており、社内で研修なども行うことで即戦力になる人材の派遣を行なっているのですが、今人材の採用などは行なわれていらっしゃいますか?」 お客様 「そうですね。採用しています。」 営業 「ありがとうございます!ホームページなども拝見しましたが、営業職の募集をされているようですが、今はどのくらいの人数の募集を予定されていますか?」 |
求人広告のテレアポトークスクリプト
求人広告の営業は差別化が難しいため、顧客にとって有益な情報を早い段階で伝え、他社との差別化を図ることが重要です。
- 求人広告営業:キャンペーンや長期掲載割引を活用して採用コストの削減を提案し、顧客の利益に直結する提案
- 業種特化型求人広告:ターゲット層への強力な訴求効果をアピール
営業 「お世話になっております。〇〇株式会社の△△と申します。弊社介護業界に特化した求人広告サイトを運営しております。効果的な求人広告をご提案したく、お電話いたしました。今はどのような求人広告を利用されていますか?」 お客様 「今は大手媒体がメインですね」 営業 「そうなんですね!ありがとうございます。ちなみに弊社のように業界特化型の媒体を利用されないご理由ってあるんですか?」 |
業務システムのテレアポトークスクリプト
業務システムの営業では、具体的な課題を解決できるシステムの導入メリットを強調することで、企業にとっての投資価値を明確に伝え、導入意欲を高めるアプローチが成功の鍵となります。
- 業務システム営業:時間短縮とコスト削減が実現できることを提案
営業 「お世話になっております。〇〇株式会社の△△と申します。弊社、業務効率改善のための業務管理ツールのご提案でご連絡させていただきました。顧客との対応で管理漏れとか、連絡漏れなどが発生したりなどお困りごとございませんか?」 お客様 「そうですね。連絡漏れとかはありますね」 営業 「そうなんですね!連絡漏れとかって気をつけてても起こっちゃいますよね…。御社と同じお悩みお持ちのお客様結構いらっしゃいまして、今日は連絡漏れや業務で起こりやすいミスを改善するためのツールのご紹介でご連絡させていただきました。連絡漏れ以外にお困りごとなどございますか?」 |
不動産のテレアポトークスクリプト
不動産の営業は、法人(toB)と個人(toC)で強調すべきポイントが異なります。
ターゲットや商材の内容に応じた提案をすることで、成約率を高めることができます。
toB向け商材
- 投資用不動産営業:企業として物件を所有する投資価値やメリットを強調
- オフィス移転などの賃貸営業:エリアや引越し時のキャンペーンをアピール
- 従業員向けの賃貸営業:福利厚生としての利用が会社の満足度向上につながる点を強調
toC向け商材
- 投資用不動産営業:物件を持つことによる資産形成のメリット強調
- 物件購入営業:資料請求の内容に基づいて、物件の特徴や購入メリットを詳しく説明
営業 「お世話になっております。〇〇株式会社の△△と申します。 御社の近くの物件に空きが出ることになりまして、その他の物件も併せてご紹介をさせていただきたいのですが、オフィスのご移転の予定などございますでしょうか?」 お客様 「今のところはないですね」 営業 「そうなんですね。ありがとうございます。東京都内ならどこでも対応させていただいているのですが、次のご移転や新しいオフィスの開設などのお話はでていらっしゃいますか?」 |
保険のテレアポトークスクリプト
保険の営業は、個人向けに行なわれることが多いため、親しみやすさや安心感を与えることが重要です。
- 法人向け保険営業:福利厚生としての利用が会社の満足度向上につながる点を強調
- 個人向け保険営業:顧客の不安やリスクに寄り添った提案
営業 「お世話になります。○○保険の△△です。 先日は〇〇の入院保険についてお問い合わせいただきありがとうございます。 お問い合わせいただいた際にご入力いただいた内容で、より●●様に合った保険のご説明もさせていただきたいのですが、お時間よろしいでしょうか」 お客様 「はい。大丈夫ですよ。」 営業 「ありがとうございます。入院保険のお問い合わせでしたが、その他に必要な補償などはございますか?」 お客様 「入院した時の生活の保障やがんの補償は欲しいですね。」 営業 「ありがとうございます。入院以外の補償とがん保険ですね。それを含めたご提案をさせていだたきますので、後日お時間いただけますでしょうか?」 |
トークスクリプトの運用・改善方法
トークスクリプトは作成して終わりではなく、実践と改善を繰り返すことで真に効果的なものへと進化させていく必要があります。ここからは、トークスクリプトを継続的に改善するサイクルと、その過程で活用できるシート活用法について解説します。
まず当ててみる
トークスクリプトは机上の理論ではなく、実際の顧客とのコミュニケーションで活用されてこそ価値があります。作成したスクリプトをまずは実践の場で試してみることが第一歩です。
初期段階では完璧を求めず、基本的な流れと主要なメッセージが含まれていれば十分です。複数の営業メンバーが同じスクリプトを使用することで、より多くのフィードバックを集めることができます。実際の会話では、自然な対話を心がけながらも、核となるメッセージや価値提案の部分はスクリプト通りに伝えるよう意識しましょう。
スクリプト実践時のポイント | 具体的な取り組み | 期待される効果 |
---|---|---|
自然な対話を心がける | スクリプトを丸暗記せず、要点を押さえて自分の言葉で話す | 顧客との信頼関係構築につながる |
顧客の反応を観察する | 興味を示した点、疑問が生じた点をメモする | 効果的な部分と改善点の把握 |
多様な顧客層で試す | 異なる業種、役職、課題を持つ顧客に適用 | スクリプトの汎用性の確認 |
初期の実践段階では、トークスクリプトの内容よりも、顧客の反応を丁寧に観察し記録することに重点を置くことが重要です。顧客がどの部分に興味を示し、どの説明に疑問を感じたかが、次のステップの貴重な情報となります。
うまくいく・うまくいかないを把握する
トークスクリプトを実践した後は、その効果を客観的に評価することが必要です。成功した事例と失敗した事例の両方から学びを得ることで、効果的な改善につなげることができます。
評価の視点としては、「顧客の反応」「アポ率」「資料送付率」などが挙げられます。単に感覚的な評価ではなく、できるだけ定量的な指標も取り入れることで、より客観的な分析が可能になります。
うまくいったケースでは、どの要素が効果的だったのか、特に顧客の反応が良かったフレーズや説明方法を特定します。一方、うまくいかなかったケースでは、顧客の反応が悪かった部分や会話が途切れてしまった箇所を分析し、原因を探ります。
この分析結果を元に、効果的だった要素はさらに強化し、効果が低かった要素は修正または削除するという判断ができるようになります。また、顧客層や商談の段階によって効果の差がある場合は、セグメント別のスクリプトの必要性も検討します。
切り返しを蓄積する
営業会話において最も価値があるのは、顧客の質問や反対意見に対する適切な「切り返し」です。どれだけ練られたスクリプトでも、顧客からの予期せぬ反応や質問に柔軟に対応できなければ効果は高くありません。
切り返しの蓄積は、チーム全体の知恵を集めることで効率的に進められます。定期的な共有会を設け、各メンバーが経験した顧客からの質問や反対意見、それに対してどう対応したかを共有します。特に効果的だった切り返しは、全員で共有し活用できるようにします。
切り返しデータベースを構築することで、新人教育や営業力の標準化にも役立ちます。顧客の質問や反対意見のパターンは意外と限られているため、主要なものへの対応をマスターすることで、多くの状況に対応できるようになります。
よくある反対意見 | 効果的な切り返し例 | 切り返しのポイント |
---|---|---|
「予算がない」 | 「現状維持にもコストがかかることをご存知ですか?実は〜」 | 現状の隠れたコストを可視化 |
「今は忙しい」 | 「多忙な状況こそ、効率化の効果が最も大きいタイミングです」 | 課題の緊急性を強調 |
「既存のツールで十分」 | 「現在のツールと比較した場合の優位性をお伝えします」 | 具体的な比較データを提示 |
切り返しを蓄積するためのスプレッドシートはトークスクリプト全体の進化を支える重要な資産となります。

https://docs.google.com/spreadsheets/d/1x9l5nkrvH2OCS45DWWd6ljyRjJqOdPcTQLYNX1N3Bj0/edit?usp=sharing
こちらのシートに使用した切り返しを随時記録し、保存するようにしましょう。1週間に一度、テレアポチームでこれについてのミーティングを行い、切り返しを確立することが重要です。
トークスクリプトを改善する
収集した情報と蓄積した切り返しを基に、トークスクリプトを定期的に改善していきます。改善は一度に大幅な変更を行うのではなく、小さな変更を繰り返し、その効果を確認しながら進めるのが効果的です。
改善の方向性としては、以下のようなポイントが考えられます。まず、顧客の反応が良かった表現や説明方法をより強調します。顧客の理解を妨げていた専門用語や抽象的な表現は、より具体的でわかりやすい表現に置き換えます。また、頻出する質問や反対意見に対する切り返しを、あらかじめスクリプトに組み込んでおくことも効果的です。
改善したスクリプトは必ず実践で検証し、その効果を測定します。この「実践→評価→改善」のサイクルを継続的に回すことで、より効果的なトークスクリプトへと進化させていくことができます。
トークスクリプトの改善は「作成→実践→評価→改善」という循環的なプロセスであり、完成形はありません。市場環境や顧客ニーズの変化に合わせて、常に進化させ続けることが重要です。
効果的なトークスクリプト改善のためには、組織的な取り組みが不可欠です。定期的な改善会議を設け、営業チーム全体で成功事例や課題を共有し、集合知を活かした改善を行うことが理想的です。
トークスクリプトを効果的に運用・改善していくためには、情報の蓄積と共有の仕組みが欠かせません。上記のスプレッドシートを活用することで、組織全体の営業ノウハウを体系化し、継続的な改善サイクルを確立することができます。
トークスクリプトの改善は継続的な取り組みであることを意識しましょう。定期的なレビューと改善を通じて、顧客ニーズの変化や市場環境の変化に対応した、常に効果的なトークスクリプトを維持することが可能になります。
切り返しトークを用意する
テレアポでは、「間に合っています」「興味ありません」などの断りを受けることも多くあります。こうした断りに対する切り返しは、最初からトークスクリプトに含めておくことも重要です。相手の否定的な意見をまずは受け入れ、その上で話の方向性を変えるなどして会話を継続する工夫が必要です。断りへの対応力が、電話営業の成功率を大きく左右します。
「今は必要ない」と言われた場合
この断りは最も一般的なものの一つで、緊急性や必要性を感じていないことが原因です。ここでは、現在のニーズではなく、将来的な価値や情報収集の価値を伝えることが効果的です。
「そのお気持ちはよく理解できます。多くの企業様も最初はそうおっしゃいました。ただ、現在必要なくても将来的な準備として情報収集されている企業様も多いです。もし3分だけお時間をいただければ、どのようなケースで弊社サービスが役立つかをお伝えできますが、いかがでしょうか?」
相手の意見を否定せず、共感することから始めることで、心理的な抵抗感を和らげます。また、短時間の提案に切り替えることで、ハードルを下げる工夫も効果的です。
「予算がない」と言われた場合
予算の問題は、多くの場合、投資対効果への疑問が背景にあります。単なるコストではなく、投資としての価値を強調することが重要です。
「ご予算のことは重要な判断基準ですね。実は弊社のサービスは導入後6ヶ月以内に投資回収できることが特徴で、むしろコスト削減のツールとして導入される企業様が多いんです。もし具体的な費用対効果についてご説明させていただければ、次期の予算計画の参考にしていただけるかもしれません。」
予算の制約を理解しつつも、費用対効果の視点を提供することで、別の角度からの検討を促します。また、「次期の予算計画の参考」という形で、直接的な購入プレッシャーを避けながらも継続的な関係構築の糸口を作ります。
「今忙しい」と言われた場合
時間の制約は実際に存在する場合が多いため、相手の状況を尊重しながらも、次のコンタクトポイントを確保することが重要です。
「お忙しいところ申し訳ありません。それでは改めてご連絡させていただきたいのですが、来週の月曜日と水曜日ではどちらがお時間取りやすいでしょうか?… 月曜日の午後ですね、ありがとうございます。その時間にお電話させていただきます。」
この対応では、相手の「忙しい」という状況を受け入れつつも、具体的な日時を提案することで次の接点を確保しています。漠然と「また連絡します」と言うよりも、明確な約束を取り付けることで、フォローアップの確実性が高まります。
「他社と契約中」と言われた場合
既存の契約関係がある場合は、すぐに切り替えを迫るのではなく、比較検討の価値を提示することが効果的です。また、契約更新のタイミングを探ることで、適切なフォローアップ時期を把握できます。
「現在他社サービスをご利用中とのこと、了解いたしました。ちなみに現在のサービスでは満足されていますか?… なるほど、その点については弊社のサービスも同様の機能を提供しています。もし契約更新のタイミングが近づいているようでしたら、比較検討用の資料をお送りしてもよろしいでしょうか?」
この対応では、相手の現状を尊重しながらも、満足度を確認することで潜在的な課題を探ります。また、更新時期という自然なタイミングでの検討を提案することで、押しつけがましさを避けつつも次のステップへの道筋を作ります。
他に用意するべき切り返し
断りの内容によって最適な切り返しは異なりますが、よくある断り文句に対してはあらかじめ回答を準備しておくと安心です。特に、自社製品・サービスの特性に合わせた切り返しを用意することが重要です。
断りの内容 | 切り返しの方向性 |
---|---|
費用面の懸念 | 投資対効果の具体例を提示し、コストではなく投資としての価値を伝える |
導入の手間 | サポート体制の充実やスムーズな移行プロセスを説明し、負担感を軽減する |
意思決定者不在 | 資料送付を提案し、意思決定者への情報共有をサポートする姿勢を示す |
競合他社利用中 | 差別化ポイントを簡潔に説明し、比較検討の価値を提示する |
どのような断りに対しても、まずは相手の意見を否定せず受け入れ、その上で会話を継続する糸口を見つけることが大切です。相手の言葉の背景にある真の懸念点を理解し、それに対応する情報提供を心がけましょう。
また、断られても諦めず、適切なタイミングでのフォローアップを検討することも重要です。特に法人営業では、初回のコンタクトでアポイントや成約に至るケースは少なく、継続的なアプローチが成功の鍵となります。
テレアポのトークスクリプトで絶対NGなポイント
営業をしているとどうしてもうまくいかないことがあります。
スクリプトの内容は改善しているのになぜとなった時、次のことを行っていないかチェックしてみましょう
- すでにやり取りがあるふりをする
- 説明が多すぎる
- クロージングが相手任せ
すでにやり取りがあるふりをする
すでにやり取りがあるような振る舞いで電話をかけると、担当者につながる可能性は高まりますが、担当者がやりとりした覚えがない場合、不信感を招き、その後のアポイントや商談が難しくなります。
一度断られても、時間が経てば状況が変わり、再アプローチが成功することもあります。その場しのぎの手法は長期的な関係構築に悪影響を与えるため、避けるべきです。
営業 「お世話になっております。〇〇の△△ですが、部長の鈴木さんいますか?」 受付 「お世話になっております。ご用件は?」 営業 「打ち合わせの件でご連絡しました。」 受付 「かしこまりました。いつご予定の打ち合わせの件ですか?」 営業 「まだ決まっていないです。」 受付 「そうですか。すでに鈴木とはお話しいただいていますか?」 営業 「いいえ。まだです。」 |
説明が多すぎる
商品やサービスの説明は、興味を引くために必要ですが、情報量が多すぎると相手に「長い」と感じさせ、内容が良くても聞く気を失わせてしまいます。
説明は、一番伝えたい内容や相手が興味を持ちそうなポイントに絞り、簡潔なスクリプトを作りましょう。
特に、【句読点2つ、文末に質問やヒアリングを配置】することで、スクリプトが作りやすくなります。
また、説明が一方通行にならないよう、会話形式を意識し、顧客への質問や顧客からの質問に対する回答も用意しておくと、よりスムーズな説明が可能になります。
営業A 「弊社のサービスなのですが、最新のAI技術を利用して適性検査を行なった上で、お客様の希望する人材を採用することができるサービスとなっており、〇〇会社様や△△会社さんなどでも活用いただいておりまして、今ならキャンペーンでAI適性検査を10名まで無料で利用いただけるのですが、デモ画面をご覧いただきながらご説明をしたいので、来週の火曜日の15時などはお時間いかがでしょうか?」 営業B 「弊社、大手の〇〇会社様や△△会社さんなどでも活用いただいている最新のAI技術を利用して適性検査を行い、お客様の希望する人材を採用することができるサービスをご提供しております。 今キャンペーンで無料でご利用いただけるのですが、デモ画面をご覧いただきながら詳しくご説明をさせていただきたいのですが、来週の火曜日の15時などはお時間いかがでしょうか?」 |
クロージングが相手任せ
テレアポでは相手の顔が見えないため、つい遠慮してしまうことがありますが、営業担当者が主導権を握り、日程を決めるまで話を進めなければアポイントは取れません。
クロージングは相手任せにせず、自分から積極的に行うことで、顧客も話を聞く姿勢になり、成功率が高まります。
営業A 「〜のご紹介をさせていただきたいのですが、いかがでしょうか?」 「〜の詳しいご説明をさせていただきたいのですが、お時間のご都合いかがでしょうか?」 営業B 「〜のご紹介をさせていただきたいのですが、明日の15時ごろはお手隙ですか?」 「〜の詳しいご説明をさせていただきたいのですが、来週の木曜日か金曜日の午後はご都合いかがですか?」 |
まとめ
テレアポのトークスクリプトは、効果的な営業活動の基礎です。
優れたスクリプトを作成するためには、自社の強みや特徴、キャンペーンなどの武器を把握し、顧客のニーズに的確にアプローチすることが重要です。
架電先やサービスに合わせたスクリプトを用意し、事前の準備と適切なプロセスを踏むことで、アポイント取得率を大幅に向上させることができます。
ぜひ紹介したテンプレートを活用し、次のテレアポにお役立てください。
スクリプト作成や顧客へのアプローチにお悩みの方は、ぜひ弊社にご相談ください。
弊社関連サービス |
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法人営業代行 営業ターゲットのリストアップから、テレアポ、訪問営業、クロージングに至るまで、新規開拓営業の全てのプロセスを営業代行するサービスです。 |

入社2年間営業チームでtoB,toC向け商材の営業を行う。 その後、バックオフィスとして10年以上営業以外全てのサポート業務に従事し、 多数の営業パーソンの起業独立にも携わる。 その他にもマーケティングやリクルーティングも兼任。