営業活動の効率を高め、成約率を向上させるためには、案件管理は欠かせません。
しかし、「どのように管理すればよいのか分からない」「ExcelとSFAのどちらを使うべきか迷っている」といった悩みを抱える方も多いのではないでしょうか?
ここでは、営業の案件管理の基本から、Excelやスプレッドシートを活用した方法、営業支援ツールの選び方までを徹底解説します。さらに、すぐに使えるExcelテンプレートもご用意!自社に最適な管理方法を見つけ、営業成果を最大化しましょう。
目次
案件管理とは
案件管理とは、商談の進捗や顧客情報、受注見込みなどを一元的に管理することを指します。営業活動の見える化を進め、抜け漏れを防ぎつつ、成約率の向上につなげるために欠かせない業務です。
案件管理の重要性
案件管理は、営業活動の効率化や成果向上に直結する重要な業務です。適切に管理することで、スムーズな案件推進が可能になります。
また、データを一元管理することで、チーム間の情報共有が円滑になり、迅速な意思決定や戦略的な営業活動の実施がしやすくなります。
案件管理を怠ると、
- 顧客情報の漏れや抜け
- 商談進捗の見落とし
- タスクやスケジュール管理の不備による信頼性の低下
以下のような問題が発生する可能性があります。
これらのリスクを回避するためには、しっかりとした管理体制の準備をすることが重要です。
案件管理項目
案件管理を適切に行うためには、管理すべき項目を明確にすることが重要です。ここでは、案件管理において押さえておくべき主な項目について解説します。

項目 | 入力内容 | 入力時ポイント |
---|---|---|
顧客情報 | 企業名、担当者名、連絡先、業種などの基本情報 | 請求書やメールなどを送る際に利用することがあるので正確な情報を記載 |
担当者 | 社内の営業担当者やチームメンバーの氏名 | アプローチ担当者が明確に分かるように記載し、過去の担当者名も併せて記録しておくと、顧客管理がスムーズ |
案件の進捗状況(ステータス) | アプローチ中、提案中、交渉中、受注、失注 | 集計をして情報整理する時に利用するので項目は絞って管理 |
商談日・次回アクション日 | 提案日、フォロー予定日 | 商談予定日や次回の日程を記入しておくことで、次回アクションの抜けを防ぐ |
案件の予算・見積金額 | 見込み売上や契約金額などの財務情報 | 金額を明確にし、記載内容の一貫性を保つ |
競合情報 | 競合他社の動向や強み・弱みの分析 | 顧客の現状利用している競合の情報や現在検討してる競合の情報を共有できるよう記載 |
優先度 | 「高・中・低」や「Aヨミ・Bヨミ・Cヨミ」 | アプローチの優先度を一目で確認するために記載 |
関連資料 | 提案書、見積書、契約書などの添付ファイルやリンク | 個別に作った資料や書類の共有が可能 |
課題・リスク | 案件進行における潜在的な問題点や解決策 | 次回アクションまでに解決しておく内容を記載 |
受注・失注理由 | 成功・失敗の要因分析と今後の改善点 | 他の顧客対応時に活かすために具体的に記載 |
SaaS企業の案件管理の例
顧客情報:〇〇株式会社 システム部部長 △△様
案件の進捗状況(ステータス):商談中
商談日・次回アクション日:○月○日・次回○月○日
案件の予算・見積金額:〇〇万円
競合情報:A社の見積もりの方が安いらしいが、質は弊社の方が良いとのこと
優先度:高
関連資料:見積書、A社よりもお得にするための提案書、今提案してる内容の契約書とお得にした内容の契約書
課題・リスク:A社からの次の提案が来週月曜だから今週中に再度連絡をする必要あり
受注・失注理由:提案までの時間を通常の1.5倍で動くことができたことで受注できた
案件ごとの基本情報や進捗状況を整理することで、抜け漏れを防ぎ、スムーズな対応が可能になります。
案件管理の基本ステップ
ただ管理項目を並べるだけでは適切な管理をすることはできません。案件管理を効果的に行うには、適切なステップを踏むことが重要です。
ここでは、案件管理の基本的なステップについて解説します。

0|案件管理の方法を選ぶ
まず、自社に適した案件管理の方法を決めます。
Excelやスプレッドシートを活用する方法、SFA(営業支援システム)やCRM(顧客管理システム)を導入する方法など、企業の規模や営業プロセスに応じて最適な管理手段を選びましょう。
導入コストや運用負担を考慮しながら、管理しやすいツールを選定することがポイントです。
各案件管理ツールの選び方については次の項目で詳しく解説します。
- Excelやスプレットシートで管理
- ツールで管理
1|案件情報の整理
案件ごとに先に記載したような管理情報を整理し、一元管理できる状態にします。
適切なフォーマットで情報を登録することで、案件の把握が容易になり、チーム内での共有もスムーズになります。
情報の一元管理を徹底する
案件情報が複数のツールやスプレッドシート、メールなどに分散していると、情報の把握が困難になり、確認漏れや更新の遅れが発生します。
そのため、SFA/CRMツールやスプレッドシートを活用し、案件情報を一元管理することが理想的です。
- SFA(営業支援システム)やCRM(顧客管理システム)を活用する
- クラウドベースのスプレッドシートを活用する
- 誰が、いつ、どの項目を更新するかなどの案件情報の更新ルールを決める
情報入力のルールを統一する
案件情報がバラバラの形式で入力されていると、後からデータの集計や検索が困難になります。
例えば、「商談中」「進行中」「提案中」などのバラつきがあると、検索時に見落としが発生する可能性があります。
入力ルールの一例
- ステータスを統一
例:「提案中」「見積提出済み」「受注」など
- 日付フォーマットを統一
例:「YYYY/MM/DD」形式
- テキストではなくプルダウン選択式を導入
特に、営業担当者ごとに記入ルールが異ならないよう、事前にフォーマットや記入方法をマニュアル化することが重要です。
定期的に情報を見直し、整理する
案件情報は日々変化するため、定期的に情報の整理・更新を行うルールを決めることが大切です。
見直しの方法 ・週1回 定例ミーティングなどを行い、案件情報を更新する
・毎月 月末3日〜最終営業日までに顧客情報や進捗情報、備考欄を整理する
・案件引き継ぎ時 顧客との過去のやり取りを含めた全部のデータ情報に抜け漏れがないか確認する
案件情報を整理する際は、適切な管理ルールを整備し、継続的に見直していくことが成功の鍵となります。
2|案件の優先順位決め
案件の重要度や緊急度、受注確度などを基準に優先順位を決定します。優先順位を誤ると、売上機会の損失や対応遅れによる顧客満足度の低下を招く可能性があります。
各営業担当のリソースを適切に配分し、高い成果が見込める案件に集中することで、効率的な営業活動が可能になります。
優先順位を決める基準を明確にする
案件の優先順位を決める際は、明確な基準を設定し、属人的な判断にならないようにすることが重要です。
以下のような要素を基準にすると、より合理的な判断ができます。
- 売上規模の大きさ
見込み売上額が大きい案件を優先- 成約確度の高さ
受注見込みが高い案件を優先- 顧客の緊急度
クライアントの決定期限が迫っている案件を優先- 競合状況
競合と競り合っている案件を早めに対応- 戦略的重要性
主要顧客や長期契約の可能性がある案件を優先
これらの基準をスコアリングし、総合評価で優先度を決定すると、判断がブレにくくなります。
優先順位の定期的な見直しを行う
案件の状況は日々変化するため、一度決めた優先順位も定期的に見直しが必要です。
例えば、以下のタイミングで優先順位を更新すると、リアルタイムで最適な営業活動ができます。
- 週次の営業会議で見直す
- 新しい案件が増えたタイミングで調整する
- 商談の進捗に応じてスコアを更新する
適宜見直しを行い、変化に対応できる体制を整えましょう。
営業チーム全体で共有する
優先順位を決めたら、営業チーム全体で情報を共有し、共通認識を持つことが重要です。
特に、SFAやCRMを活用すると、リアルタイムで最新の優先順位を管理・共有できます。
- SFA/CRMツールでステータスを可視化する
- 優先順位リストをスプレッドシートなどで共有する
- 案件の変更があった場合、営業会議やチャットツールで周知する
チーム内で共通認識を持つことで、リソースの最適化や対応漏れの防止につながります。
案件の優先順位を決める際は、明確な基準を設定し、スコアリングを活用することで、属人的な判断を避けることができます。 また、定期的な見直しと営業チーム内での共有を徹底することで、より効率的な案件管理が可能になります。
3|進捗を定期的に更新・共有
案件の進捗を随時更新し、チーム内で情報の共有をします。
進捗管理が不十分だと、対応漏れや優先順位の誤りが発生し、結果として顧客満足度の低下や売上機会の損失につながる可能性があります。
定例ミーティングやSFA(営業支援ツール)を活用し、案件の状況を可視化することで、問題の早期発見や適切な対策が取りやすくなります。
進捗を更新するルールを決める
進捗を適切に管理するためには、更新のルールを明確に定め、営業チーム全体で統一することが重要です。
- 更新頻度の設定
案件の進捗を「毎日」「週次」「フェーズごと」など、適切な頻度で更新する
- 更新者の明確化
担当営業が更新するのか、管理者がチェックするのかを決める- 入力項目の統一
必要な情報(案件ステータス・商談結果・次のアクション)を明確にし、バラつきが出ないようにする さと 例:「毎週月曜の営業会議前に、案件ステータスと次のアクションをCRMに入力する」
このようにルールを明確にすると、進捗更新の抜け漏れを防ぎ、チーム全体で一貫した情報を共有できます。
リアルタイム管理を徹底する
手動での進捗管理は手間がかかるため、SFA(営業支援システム)やCRM(顧客管理システム)を活用すると、より効率的な管理が可能になります。しかし、ExcelやGoogleスプレッドシート(スプシ)でもリアルタイム管理を工夫することで、一定の効率化が可能です。
SFA/CRMを活用したリアルタイム管理を行う方法
- ステータスごとに案件を可視化
例:商談中 / 提案済 / 契約締結- タスクのリマインダー設定
次のアクションを忘れないように通知- 変更履歴の記録
いつ・誰が・何を変更したかを追跡できる
ツールを活用することでリアルタイムで情報が更新され、チーム全体が最新の案件状況を把握しやすくなります。
Excel・スプレッドシートでリアルタイム管理を行う方法
- プルダウンリストや条件付き書式などを活用
- Googleカレンダーと連携し、リマインダーを設定
- 売上見込みや受注数を自動で計算
- 進捗状況をグラフで可視化
Excel・スプレッドシートで管理する際のメリット
- 編集履歴を自動で保存し、過去のバージョンに戻せる
- コメント機能を使って案件ごとにチーム内でディスカッションが可能
リアルタイム管理を徹底することで、案件の進捗を正確に把握し、適切なアクションを素早く取ることが可能になります。
進捗共有のフォーマットを統一する
進捗情報をチームで共有する際は、統一されたフォーマットを使用することで、分かりやすく、情報の抜け漏れを防げます。
フォーマットを決めておくことで、必要な情報が網羅され、スムーズな情報共有が可能になります。
定期的な営業会議で進捗確認を行う
進捗管理を徹底するためには、営業会議や定例ミーティングを活用して、案件状況を確認し、必要な対策を講じることが重要です。
- 週次の営業会議で、進捗の報告と課題の共有
- 主要案件のボトルネックを洗い出し、解決策を検討
- 新規案件や優先順位の変更がある場合、即時反映
個々の営業担当が案件の進捗を把握しているだけではなく、チーム全体で情報を共有し、最適なアクションをとれる体制を整えましょう。
共有ツールを活用してチームの情報連携を強化する
進捗管理をよりスムーズに行うために、社内のコミュニケーションツールを活用し、リアルタイムで情報共有できる仕組みを作ることも有効です。
- SlackやTeamsで案件ごとのチャンネルを作成し、最新情報を共有
- GoogleスプレッドシートやNotionで進捗リストをリアルタイム更新
- SFA/CRMのダッシュボードを活用し、全体の状況を見える化
このようなツールを活用すると、会議を待たずに即座に進捗を共有でき、対応スピードの向上につながります。
進捗を定期的に更新・共有するためには、更新ルールの設定・SFA/CRMの活用・フォーマットの統一・定例会議の実施・共有ツールの活用が重要です。
リアルタイムで案件情報を管理し、チーム全体で共通認識を持つことで、スムーズな営業活動と成約率の向上を実現できます。
4|案件の振り返りと改善
案件対応が完了したら、受注・失注の理由の分析を行います。案件の振り返りと改善を行うことで、営業プロセスの課題を特定し、次の案件でより高い成果を出すことが可能になります。
営業プロセスの改善点を洗い出し、より効果的な案件管理の仕組みを構築することが、継続的な成長につながります。
成果指標(KPI)の確認
案件を振り返る際は、事前に設定したKPI(重要業績評価指標)を基準に評価することが不可欠です。
確認すべきKPIの例
商談数 | 設定した目標に対して実施できたか |
---|---|
成約率 | 見込み顧客のうち、どれだけ契約に至ったか |
案件の平均リードタイム | 案件開始から成約・失注までの期間 |
商談後のフォロー率 | 提案後、適切なフォローが行われたか |
これらの数値を振り返ることで、営業プロセスのどこに課題があるのかを客観的に分析できます。
成功要因と失敗要因の分析
案件ごとに「成功した要因」と「失敗した要因」を整理することで、今後の営業活動に活かすことができます。
分析ポイント
- 成功案件の共通点を見つける
例:意思決定者と早期に接触できた、ニーズに合った提案ができた- 失注案件の原因を特定する
例:競合と比較され価格面で不利だった、ヒアリング不足で適切な提案ができなかった- 営業プロセスのどこに課題があったかを分析する
リード獲得・商談・フォロー・クロージングなど項目ごとに発生した課題を分析する
成功要因を標準化し、失敗要因を改善することで、次の案件の成約率向上につなげることができます。
顧客からのフィードバックを収集する
顧客視点で案件を振り返ることも重要です。特に、失注した場合は、その理由を顧客から直接ヒアリングすることで、貴重な改善点が得られます。
ヒアリングする時のポイント
- なぜ競合他社を選んだのか?
- 提案内容や価格についてどう感じたか?
- どのタイミングで決裁が下されたのか?
これらの情報を蓄積することで、今後の営業活動の精度を向上させることができます。
営業チーム全体で共有し、改善策を立てる
個々の営業担当者が学びを得るだけでなく、チーム全体で振り返りを行い、ナレッジを共有することで組織全体の営業力を向上させることが可能です。
チーム内で共有するポイント
- 成功事例・失注事例の定期的な振り返り
- 成功案件の流れをマニュアルにし作成
- トークスクリプトや営業資料を改善
特に、改善策は具体的なアクションとして落とし込み、すぐに実践できる形にすることが重要です。
SFA/CRMツールを活用してデータを蓄積・分析
案件の振り返りと改善を継続的に行うためには、SFA(営業支援システム)やCRM(顧客管理システム)を活用し、データを蓄積・分析することが効果的です。
SFA/CRMツールでの運用効果
- 成約・失注データを一元管理
- ダッシュボードでKPIを可視化
- 顧客の反応や履歴の蓄積
案件の振り返りと改善を効果的に行うためには、KPIの確認・成功/失敗要因の分析・顧客フィードバックの収集・チームでの共有・SFA/CRMの活用が必要です。
これらを継続的に実施することで、営業プロセスの改善が進み、成約率の向上や営業の効率化につながります。
Excelやスプレットシートで管理
案件管理の基本的な方法として、ExcelやGoogleスプレッドシートを活用する方法があります。
Excelやスプレッドシートは、手軽に案件管理を始められるツールとしておすすめです。
以下は弊社で活用している案件管理用テンプレートになります。
左上、「ファイル」から「コピーを作成」で各企業様でもご活用になれます。
https://docs.google.com/spreadsheets/d/1mYeiKKRgCf_FQMkCxsMRxi3kExKscDLR3EsG2zgy4O8/edit?usp=sharing
Excelやスプレッドシートでの管理の特徴
Excelやスプレッドシートはアカウントがあれば他の機能も利用ができ、コストをできる限りかけずに導入でき、カスタマイズもしやすいため、多くの企業で利用されています。
Excelやスプレッドシートでの管理がされている理由
1. 低コストでの手軽に導入可能
多くの企業で既に導入されており、特別なシステムを導入せずに案件管理を始められ、無料または低コストで利用が可能
2. 柔軟なカスタマイズが可能
管理項目や入力フォーマットを自由に設計できるため、自社の営業プロセスに合わせた管理が可能
3. 複数人での共有・編集が可能
リアルタイムでの情報共有が可能。営業チームで案件情報を更新しながら、進捗把握が可能
4. データ分析やレポート作成に活用できる
ピボットテーブルやグラフ機能を活用することで、案件の傾向分析や営業成績の可視化が可能
Excelやスプレッドシートは、低コストで手軽に導入でき、柔軟なカスタマイズが可能なため、多くの企業で案件管理に活用されています。さらに、リアルタイムでの情報共有や、データ分析・レポート作成にも対応できるため、営業チームの業務効率化に
具体的な管理方法
案件管理を効果的に行うには、適切な管理手法の選定が欠かせません。特に、Excelやスプレッドシートを活用することで、低コストかつ柔軟に案件を管理できます。
ここでは、これらのツールを使って業務を効率化するためのポイントを詳しく解説します。

1|ステータス管理の仕組み作成
案件ごとの進捗状況を明確にするため、ステータス管理の仕組みを作成しましょう。
「新規」「対応中」「見積提出」「受注」「失注」などのステータスを設定することで、現在の状況を一目で把握でき、次のアクションを迅速に決定できます。
スプレッドシートでは、プルダウンリストを活用することで、データ入力の統一が可能です。

ステータスを統一して設定することで、管理が簡単になります。例として「アプローチ中」「提案中」「受注」などのプルダウンメニューを作成すると便利です。
2-1|案件の優先順位の可視化
限られたリソースを適切に配分するためには、案件の優先順位を明確にすることが重要です。
優先順位を決める基準として、
- 期待売上(受注した場合の売上額)
- 案件の緊急度(対応期限の有無)
- 顧客の温度感(購買意欲の高さ)
のような要素を設定すると効果的です。
「重要度」や「確度」の列を追加し、数値化することで、案件の比較が容易になります。
また、条件付き書式を活用し、優先順位ごとにセルの色分けを行うことで、視覚的に管理を行います。
2-2|進捗管理のための定期的な更新ルールを設定
案件の状況が適切に管理されるよう、定期的な更新ルールを設定することが重要です。
案件情報を最新状態に保つため、週次で更新ルールを設け、全員が確認できる体制を整えましょう。
- 週次または月次で進捗状況を更新
- 更新担当者を決め、記入の抜け漏れを防ぐ
- 変更履歴を残し、過去の対応内容を確認できるようにする
- 「最終更新日」列を追加し、進捗が古くなっていないかをチェック
案件の状況を正確に把握するには、定期的な更新ルールの設定が不可欠です。週次や月次での進捗確認を徹底し、担当者を明確にすることで、情報の抜け漏れを防ぎ、常に最新の案件状況を共有できる体制を整えましょう。
3-1|関数を活用して自動集計で効率化
Excelやスプレッドシートの関数を活用すれば、手作業を減らし、データ入力ミスも防げます。
管理時に役に立つ関数
SUMIFS関数 | 特定の条件に当てはまる案件の売上合計を自動算出 | |
---|---|---|
COUNTIFS関数 | 特定のステータスの案件数をカウント | |
IF関数 | 案件の進捗に応じたアラートを表示 | |
VLOOKUP関数 | 縦方向の検索を行い、指定した範囲から条件に一致するデータを抽出 |
関数を組み合わせることで、レポート作成の手間を大幅に削減できます。
3-2|チームでの共有・権限管理を設定
複数人で管理する場合、適切な権限設定を行うことで情報の誤操作や漏洩を防げます。
- 編集可能なユーザーを制限し、誤った修正を防ぐ
- 「閲覧のみ」の権限を活用し、関係者が自由に確認できるようにする
- 変更履歴を有効にして、修正の追跡を可能にする
Googleスプレッドシートでは、「共有設定」でユーザーごとの権限を細かく設定できるため、管理がしやすくなります。
3-3|案件の進捗をグラフ化して可視化
進捗状況を可視化することで、案件の管理がより直感的になります。

- 棒グラフ:案件数の推移やステータス別の件数を表示
- 円グラフ:案件の確度や売上見込みの割合を示す
- ガントチャート:案件の進行スケジュールを管理
Excelやスプレッドシートには、データを自動的にグラフ化する機能が備わっており、会議や報告資料にも活用できます。
4|案件管理の課題と改善策
Excelやスプレッドシートで案件管理を行った後、案件ごとの課題や改善点を整理するには、振り返りの仕組みを作り、データを一元的にまとめることが重要です。以下の手順でまとめると、営業プロセスの改善につなげやすくなります。
① 案件ごとの振り返りシートを作成する
Excel/スプレッドシートに、案件ごとの振り返り用シートを作成します。
以下のような項目を設けて、案件ごとの成功・失敗要因を整理します。
案件名 | 受注/失注 | 成功要因 | 失敗要因 | 課題 | 改善策 | 次回アクション |
---|---|---|---|---|---|---|
○○株式会社 | 受注 | 早期に意思決定者と商談できた | – | フォローの頻度を増やす | 定期フォローの仕組みを作る | 3ヶ月ごとに状況確認 |
△△商事 | 失注 | – | 競合の提案の方が魅力的だった | 価格交渉力の向上 | 競合の価格リサーチを徹底 | 事前に競合情報を収集 |
□□工業 | 失注 | – | 提案内容が顧客のニーズとズレていた | ヒアリングの強化 | 初回商談で課題を深掘りする質問を増やす | ヒアリングシートを改良 |
案件ごとの振り返りでは、成功要因を特定し、次回の営業活動に活かすことが重要です。失注の原因も明確にし、具体的な改善策を立てることで、同じ課題を繰り返さない仕組みを作れます。さらに、改善策を実行可能なアクションとして整理し、営業プロセスにすぐ反映することが成長につながります。
② KPIベースで課題を分析する
個別の案件だけでなく、KPI(重要業績指標)を元に全体の傾向を分析します。
KPI項目 | 目標値 | 実績 | 課題 | 改善策 |
---|---|---|---|---|
商談数 | 20件/月 | 15件 | アポ獲得率が低い | リード獲得施策の強化 |
成約率 | 30% | 20% | 提案の魅力が競合に劣る | ユーザー事例を交えた提案を増やす |
平均リードタイム | 45日 | 60日 | クロージングに時間がかかる | 決裁者へのアプローチを早める |
商談後のフォロー率 | 90% | 70% | フォロー漏れが発生 | フォロー用タスクを自動化 |
KPIと実績を比較することで、営業プロセスのどこに課題があるのかを明確にできます。特定した問題点に対して具体的な改善策を立て、実施することで営業効率や成約率の向上につなげられます。
③ 課題・改善策をチームで共有する
案件ごとの振り返りやKPI分析の結果をチーム内で共有し、組織的な改善につなげます。
定例ミーティングで以下のような流れで話し合うのが効果的です。
- 成功案件の共有 → 再現性を高める方法を検討
- 失注案件の共有 → 失敗要因を整理し、改善策を決定
- KPI分析結果の確認 → 営業プロセス全体の課題を特定
- 次回の改善アクションを決定 → 実行計画を作成
分析だけで終わらせず、実行可能な改善策を設定し、実践することが重要です。さらに、チーム内でナレッジを共有することで、組織全体の営業力を向上させることができます。
Excelやスプレッドシートは、コストを抑えながら案件管理を始めるのに適したツールです。関数やグラフ、共有設定を活用すれば、より効率的に管理できます。ただし、案件数が増えてくると管理が煩雑になるため、SFAやCRMへの移行も視野に入れることが大切です。
Excel・スプレットシートのテンプレート

https://docs.google.com/spreadsheets/d/1mYeiKKRgCf_FQMkCxsMRxi3kExKscDLR3EsG2zgy4O8/edit
簡単に使用できるテンプレート例として、以下のような項目を含む管理表を作成しましょう。
- 顧客情報
- ステータス
- 優先度
- 次回アクション日
- 受注確度
上記スプレッドシートは弊社Sales and Innovation Japanで活用しているスプレッドシートです。コピーを作成から自社で活用ください。
管理時の注意点
Excelやスプレッドシートは手軽に案件管理を始められるツールですが、適切に運用しなければ管理が煩雑になり、抜け漏れが発生しやすくなります。効率的な管理を行うために、以下の点に注意しましょう。
1. データの一貫性を保つ
2. 更新ルールを明確にする
3. ファイルの管理方法を決める
4. 関数やフィルターを活用し、データを整理する
5. 権限管理を適切に設定する
6. 長期的な運用を考慮する
1. データの一貫性を保つ
案件ごとのステータスや担当者、期日などの情報を統一し、バラつきが出ないように管理することが重要です。入力ミスを防ぐため、プルダウンリストや入力規則を設定すると効果的です。また、案件ごとのネーミングルールを統一することで、検索性を高めることができます。
2. 更新ルールを明確にする
案件管理は常に最新の情報を反映させることが重要です。そのため、更新の頻度や担当者を明確に決める必要があります。たとえば、週に1回進捗を更新するルールを定めたり、更新日を記録する列を作成したりすると、管理の精度が向上します。
3. ファイルの管理方法を決める
Excelの場合、ローカル環境で管理すると最新データがどこにあるのか分からなくなることがあります。そのため、クラウド環境(GoogleドライブやOneDriveなど)で共有し、リアルタイムで更新できる環境を整えるのがおすすめです。また、定期的にバックアップを取り、万が一のデータ消失に備えることも重要です。
4. 関数やフィルターを活用し、データを整理する
案件数が増えてくると、Excelやスプレッドシートではデータの管理が煩雑になるので、
COUNTIFS
やSUMIFS
を使い、特定の条件でデータを集計- フィルター機能を活用し、特定の案件のみを表示
- 条件付き書式を設定し、締切が近い案件を視覚的に強調
といった工夫をすると、管理がスムーズになります。
5. 権限管理を適切に設定する
案件管理を複数人で行う場合、誰でも編集できる状態にしておくと、誤ってデータを消したり、意図せず変更してしまうリスクがあります。Googleスプレッドシートなら、編集権限を「閲覧のみ」「コメント可能」などに設定し、必要なメンバーだけが編集できるようにしましょう。
6. 長期的な運用を考慮する
Excelやスプレッドシートは小規模な案件管理には向いていますが、案件が増えると管理が難しくなります。データが肥大化すると動作が遅くなり、情報を探すのに時間がかかることもあります。案件数が増えた場合は、SFAやCRMツールの導入を検討するのも一つの方法です。
案件管理を効率化するには、データの一貫性を保ち、更新ルールやファイル管理を明確にすることが重要です。さらに、関数やフィルターを活用して整理し、適切な権限管理を行うことで、ミスを防ぎながら運用の精度を向上させられます。長期的には、案件の増加に応じてSFAやCRMツールの導入も検討しましょう。
ツールで管理
Excelやスプレッドシートでの管理も十分有効ですが、すべての要件を満たせない場合もあります。その際は、SFAやCRMなどの案件管理ツールを活用するのも一つの方法です。ここでは、案件管理ツールのメリットや選び方のポイントについて解説します。
案件管理ツールとは
案件管理ツールとは、営業やプロジェクトの進捗を効率的に管理するためのシステムです。
顧客情報や商談履歴、タスクの期限などを一元管理でき、抜け漏れ防止や業務効率化、チーム間の情報共有をスムーズに行うことができます。SFA(営業支援ツール)やCRM(顧客管理ツール)などが代表的で、適切なツールを選ぶことで営業成果の最大化につながります。
無料のSFA/CRMツールの特徴
有料のSFA/CRMツールの特徴
無料のSFA/CRMツールの特徴
無料のSFA(営業支援システム)やCRM(顧客管理システム)は、主に中小企業や個人事業主が低コストで営業管理を始められる点が特徴です。
メリット
- 基本機能を無料で利用可能
顧客情報管理、案件管理、タスク管理などの機能が無料で利用できる - 導入コストが不要
初期費用や月額費用がかからないから試験的に運用できる - 手軽に導入できる
クラウド型が多く、アカウント登録だけで利用できる
制限・デメリット
- 利用できる機能が限定的
一部の高度な分析機能やカスタマイズは有料プラン限定のことが多い - ユーザー数やデータ量に制限
登録可能なユーザー数やデータ保存量が制限されることが多い - サポートが限定的
問い合わせ対応がないもしくは遅い場合も多い
無料SFA/CRMは、小規模な営業組織や試験導入に適しているものの、本格的な運用では有料プランへの移行が必要になることが多いです。
有料のSFA/CRMツールの特徴
有料のSFA(営業支援システム)やCRM(顧客管理システム)は、高度な機能と柔軟なカスタマイズ性を備え、営業活動の効率化と成約率向上をサポートするのが特徴です。
メリット
- 高度な分析機能
売上予測、顧客データ分析、レポート作成などが可能で、データドリブンな営業戦略を立てられる - 自動化機能の充実
案件管理、フォローアップメールの自動送信、リードスコアリングなど、業務効率化が可能 - カスタマイズ性が高い
自社の営業プロセスに合わせて、項目やワークフローを自由に設定できる - チーム全体での管理が容易
複数の営業担当者がリアルタイムでデータを共有し、案件進捗を一元管理できる - サポート体制が充実
導入支援やトレーニング、専用のカスタマーサポートが受けられる
デメリット・注意点
- コストがかかる
ユーザー数に応じた月額料金が発生し、機能追加ごとに追加費用が必要な場合がある - 導入・運用に時間がかかる
高度な機能を活用するには、導入時の設定や社内教育が必要 - オーバースペックの可能性
中小企業や単純な営業フローの企業では、一部機能を活用しきれず、コストに見合わない場合も
有料SFA/CRMツールは、本格的な営業組織の管理や、大規模な営業データの活用を考える企業に適していると言えます。
具体的な管理方法
SFAやCRMなどの案件管理ツールを導入することで、情報の一元管理や業務の効率化が可能になります。ここでは、ツールを活用した効果的な管理方法について具体的に解説します。
1|案件情報の一元管理
2-1|案件の進捗状況をステージごとに管理
2-2|タスクとスケジュールの管理
3-1|案件ごとの売上予測と分析
3-2|コミュニケーションの履歴管理
3-3|レポート・KPIの自動集計
4|テンプレートの活用で業務を標準化
1|案件情報の一元管理
案件情報をツールに集約することで、関係者がリアルタイムで状況を把握でき、スムーズな業務遂行が可能になります。
- 顧客情報・過去の商談履歴を統合
案件ごとに顧客情報や過去の商談内容を登録し、チーム全体で共有- 検索・フィルタリング機能の活用
案件の進捗や担当者別にフィルタリングし、必要な情報を即座に確認- 権限管理の設定
閲覧・編集権限を適切に設定し、誤操作や情報漏洩を防止
2-1|案件の進捗状況をステージごとに管理
案件の進捗をフェーズごとに管理することで、ボトルネックを特定し、適切な対応を取ることができます。
- 標準化されたステージの設定
「アプローチ中」「提案中」「受注」「失注」などのステージを統一- ドラッグ&ドロップで更新
案件のフェーズ変更を直感的に行えるツールを活用- 通知機能の活用
一定期間更新されていない案件にアラートを設定し、フォロー漏れを防止。
2-2|タスクとスケジュールの管理
案件ごとのタスクを明確にし、適切なスケジュール管理を行うことで、業務の抜け漏れを防ぎます。
- To-Doリストの活用各案件に関連するタスクを登録し、期限を設定
- カレンダー連携営業活動と会議スケジュールを一元管理
- リマインダー機能の設定重要な商談やフォローアップの通知を自動化
3-1|案件ごとの売上予測と分析
案件の進捗状況と過去のデータをもとに、売上予測を立て、戦略的な意思決定をサポートします。
- 受注確度のスコアリング案件の確度を「高・中・低」など数値化し、売上見込みを算出
- ダッシュボードでリアルタイム分析視覚的なグラフやレポートで売上の進捗を確認
- AI予測機能の活用過去のデータをもとに、今後の売上を予測
3-2|コミュニケーションの履歴管理
過去のメールや商談内容、提案資料などを一元管理できるため、対応履歴をすぐに確認することができます。
顧客とのやり取りを可視化することで、フォローアップの精度が向上し、営業担当者が変わってもスムーズに引き継げます。
- メール・電話履歴の自動保存
ツールと連携し、過去のコミュニケーションを蓄積- コメント機能の活用
案件ごとにチーム内でメモやフィードバックを記録- チャット連携
SlackやTeamsなどと連携し、リアルタイムで情報共有
3-3|レポート・KPIの自動集計
ツールには営業成果やKPIを自動で集計・可視化する機能が備わっているため、手作業での集計の手間を削減できます。営業チームの進捗をリアルタイムで確認でき、データをもとに改善策を検討しやすくなります。
KPI項目 | 目標値 | 実績 | 課題 | 改善策 |
---|---|---|---|---|
商談数 | 20件/月 | 15件 | アポ獲得率が低い | リード獲得施策の強化 |
成約率 | 30% | 20% | 提案の魅力が競合に劣る | ユーザー事例を交えた提案を増やす |
レポート機能を活用し、リアルタイムでのデータ確認を実施しましょう。
4|テンプレートの活用で業務を標準化
案件管理ツールでは、営業資料や提案書、メールなどのテンプレートを登録し、統一化できます。これにより、対応のばらつきを防ぎ、属人化を解消できます。特に、SFA/CRMにはテンプレート機能が標準搭載されていることが多く、業務の標準化を推進できます。
- 案件管理シートのテンプレートを作成
- 振り返りシートを活用し、成功・失敗要因を整理
- KPI分析を定例会議で共有し、改善策を決定
テンプレートを活用することで、業務の属人化を防ぎ、スムーズな案件管理が可能になります。
案件管理ツールを活用することで、情報の一元管理、進捗の可視化、売上予測、タスク管理、コミュニケーション履歴の蓄積が可能になります。さらに、KPIの自動集計やテンプレートの活用により、業務の効率化と標準化を実現できます。営業活動の精度を高め、成約率を向上させるために、適切なツールを導入・活用していきましょう。
管理時の注意点
案件管理ツールを導入することで、情報の一元管理、進捗の可視化、業務効率化などのメリットを得られます。
しかし、適切に運用しなければ、かえって管理が煩雑になり、ツールの活用が定着しないこともあります。ここでは、案件管理ツールを活用する際に注意すべきポイントを解説します。
1. 適切なデータ入力ルールを設定する
2. 定期的なデータ更新を徹底する
3. 権限設定を適切に管理する
4. 過剰なカスタマイズを避ける
5. 定期的に運用ルールを見直す
1. 適切なデータ入力ルールを設定する
ツールを導入しても、入力ルールが統一されていないと、データの信頼性が低下します。例えば、顧客名や案件名の記載方法が担当者ごとに異なると、検索性が悪くなり、データ分析にも影響を及ぼします。
対策:
- 案件情報の入力フォーマットを統一する(例:「会社名_案件名」など)
- 必須項目を明確にし、入力漏れを防ぐ
- 日付・数値フォーマットを統一し、データの整合性を確保
2. 定期的なデータ更新を徹底する
案件の進捗や対応履歴が古いままだと、実態と異なる情報に基づいて判断するリスクがあります。特に、商談の結果や次回のアクションが反映されていないと、チーム内の連携がうまく取れず、営業機会を逃してしまう可能性があります。
対策:
- 進捗更新を定期的に行う(例:週1回の情報更新をルール化)
- タスク完了後すぐに対応履歴を記録する
- 更新が滞っている案件にアラートを出す機能を活用する
3. 権限設定を適切に管理する
ツールによっては、誰でもデータを編集できる状態だと、誤操作や情報漏洩のリスクがあります。一方で、権限を厳しくしすぎると、必要な情報をリアルタイムで共有できない問題も発生します。
対策:
- 営業担当者、マネージャー、管理者などの権限レベルを明確に設定する
- 閲覧のみ、編集可、削除可などの制限を適用する
- 重要データの編集履歴を記録し、不正な変更を防ぐ
4. 過剰なカスタマイズを避ける
SFAやCRMツールは柔軟にカスタマイズできますが、不要な項目を増やしすぎると、入力負担が増し、ツールの運用が形骸化してしまいます。特に、入力項目が多すぎると、営業担当者の負担が大きくなり、正確なデータが蓄積されにくくなります。
対策:
- 本当に必要な情報だけを管理項目として設定する
- 使いにくい部分があれば、定期的にフィードバックを集めて改善する
- 導入初期は最小限の設定にし、運用しながら必要な項目を追加する
5. 定期的に運用ルールを見直す
ツールの運用を開始した後も、営業プロセスの変化や業務フローの見直しに応じて、管理方法を改善していく必要があります。導入当初は適切だったルールでも、現場の状況が変わることで、運用が形骸化してしまうことがあります。
対策:
- 半年~1年ごとに運用状況を確認し、課題がないかチェックする
- ユーザーの意見を定期的にヒアリングし、改善を反映する
- ツールの新機能を活用し、より効率的な管理方法を模索する
案件管理ツールを効果的に活用するためには、適切なデータ入力ルール、定期的な情報更新、権限設定、無駄のないカスタマイズ、運用ルールの見直しが重要です。これらのポイントを意識することで、ツールを最大限に活用し、営業活動の効率化と成約率の向上につなげることができます。
案件管理ツールの選び方
案件管理ツールを導入することで、営業活動の可視化や業務の効率化が実現できます。
しかし、ツールごとに機能や使い勝手が異なるため、自社に最適なものを選ぶことが重要です。選定の際は、必要な機能、操作性、コスト、導入後のサポート体制などを総合的に比較し、自社の営業プロセスに適したツールを見極めましょう。
- 必要な機能と使いやすさの確認
- コストと将来の拡張性
- 連携性とモバイル対応
- セキュリティとサポート体制
- 導入前の検証機会の有無
必要な機能と使いやすさの確認
案件管理ツールには、案件の進捗管理、タスク管理、レポート機能、KPIの可視化など、さまざまな機能があります。
自社の業務フローに合致した機能が備わっているかを確認し、直感的に操作できるUI・UXを備えているかも重要なポイントです。使いにくいツールは定着せず、現場で活用されにくくなります。
コストと将来の拡張性
ツールには無料プランから高額なエンタープライズ向けプランまで幅広い価格帯があります。
初期導入費用だけでなく、月額費用や追加機能のコストも考慮し、自社の予算に適したものを選びましょう。
また、将来的な拡張性も確認し、事業規模の成長に伴ってユーザー数や機能を柔軟に増やせるかも重要です。
連携性とモバイル対応
既存のSFA/CRM、会計ソフト、MAツール、グループウェアなどと連携できるかを確認しましょう。
連携性が低いとデータの二重管理が発生し、業務効率が低下します。また、外出先でも案件管理が必要な営業職向けに、スマートフォンやタブレットでの操作性が高いツールを選ぶことも重要です。
セキュリティとサポート体制
クラウド型の案件管理ツールを選ぶ場合、データの暗号化やアクセス制限、IP制限、ログ管理などのセキュリティ対策が十分かを確認することが必須です。
また、万が一のトラブルに備え、サポート体制の充実度(問い合わせ対応の有無、対応時間、マニュアル・FAQの充実度など)も比較しましょう。
導入前の検証機会の有無
無料トライアルやデモを提供しているツールであれば、導入前に実際の操作感を試せます。
実際に現場の営業担当者に使用してもらい、フィードバックを収集することで、導入後の定着率を高めることができます。
また、導入サポートやトレーニングが充実しているかも確認し、スムーズな運用開始ができるツールを選びましょう。
案件管理ツールは、営業の生産性向上に欠かせないツールですが、自社の業務に適したものを選ばなければ十分に活用できません。必要な機能やコスト、連携性、セキュリティなどを総合的に評価し、実際に試用しながら選定することが成功の鍵となります。
案件管理をするときのポイント
案件管理を適切に行うことで、営業の効率化や成約率の向上が期待できます。
しかし、管理が不十分だと、情報の抜け漏れや対応遅れが発生し、商談の機会を失うリスクも高まります。ここでは、案件管理を効果的に進めるためのポイントを解説します。
- データ入力のルール統一と標準化
- 最新情報を維持
- 情報管理の強化
- タスクの管理とリマインダーの設定
データ入力のルール統一と標準化
案件管理をスムーズに行うためには、入力ルールを統一し、標準化することが不可欠です。
案件名のフォーマットや顧客情報の入力形式を統一しないと、後から検索や分析がしづらくなります。また、担当者ごとに異なる表記が混在すると、情報の抜け漏れや誤認識が発生しやすくなります。
項目やフォーマットを統一し、全員が同じ基準で入力できるよう標準化を行いましょう。
最新情報を維持
案件の状況は日々変化するため、常に最新の情報を保つことが重要です。
顧客からの問い合わせや商談の進捗状況が更新されていないと、チームメンバーが正しい判断を下せず、適切な対応が遅れる可能性があります。
定期的な情報更新をルール化し、担当者がリアルタイムで情報を記録できる環境を整えることがポイントです。SFA(営業支援システム)やCRM(顧客管理システム)を活用すると、自動更新や通知機能によって情報の鮮度を維持しやすくなります。
これにより、次のアクションがスムーズに進められます。
情報管理の強化
案件管理には機密情報が含まれるため、適切なアクセス権限の設定が不可欠です。
全員が自由に編集できる状態では、誤った書き換えや削除のリスクがあるため、閲覧・編集権限を適切に管理し、変更履歴を確認できる仕組みを整えましょう。
また、クラウドツールを利用する際は、データのバックアップや暗号化対策を実施し、セキュリティの強化にも配慮することが重要です。
タスクの管理とリマインダーの設定
案件管理では、スケジュールの遅れを防ぐために、タスク管理とリマインダーの設定が欠かせません。
次回のアクション(見積書の提出やフォローコールなど)を明確にし、締め切りを設定することで、対応漏れを防ぐことができます。SFAやCRMのリマインダー機能を活用すると、自動通知によって抜け漏れを防ぎ、適切なタイミングでフォローアップが可能になります。
案件管理を適切に行うには、データの統一・標準化、最新情報の維持、情報管理の強化、タスク管理の徹底が必要不可欠です。これらのポイントを押さえることで、商談の進捗を可視化し、抜け漏れのない対応が可能になります。
SFAやCRMなどのツールを活用しながら、チーム全体で効率的な案件管理を実践しましょう。
まとめ

案件管理を適切に行うことで、営業活動の効率化や成約率の向上が期待できます。
自社に合った管理方法を選び、情報の整理・共有を徹底することが重要です。適切なツールやルールを活用し、案件管理を最適化することで、営業成果を最大化しましょう。
案件管理の効率化は、営業成果を左右する重要なポイントです。株式会社Sales and Innovation Japanは、長年の営業支援実績をもとに、企業ごとの課題に合わせた最適な管理手法を提案し、成約率の向上と業務効率化を徹底サポートいたします。
豊富な支援実績と専門ノウハウを活かし、貴社に最適な管理方法とツール選定をサポートいたします。お気軽にご相談ください!


入社2年間営業チームでtoB,toC向け商材の営業を行う。 その後、バックオフィスとして10年以上営業以外全てのサポート業務に従事し、 多数の営業パーソンの起業独立にも携わる。 その他にもマーケティングやリクルーティングも兼任。