営業組織を立ち上げる際には、戦略の策定から始まり、組織の設計、人材の採用、プロセスの構築まで、各段階で慎重に計画を立てることが重要です。どの段階も成果に直結するため、一貫したアプローチを取ることが求められます。ここでは、営業組織を構築するための具体的なプロセスと、各段階でのToDoを徹底的に解説します。新たに営業組織を立ち上げようとしている方に向け、具体的な手順と注意点を紹介し、成功に導く方法を提案します。
理想の営業組織とは

理想の営業組織とは何でしょうか。まずは、その問いに立ち返ってみましょう。
1990〜2010年頃の営業組織は、トップ営業に依存し、即効性のある成果を重視するスタイルが主流でした。「売れさえすればいい」という価値観が強く、営業力の高い人材を多く抱えることが、強い営業組織の条件とされていたのです。当時はSaaSやデジタルツールが未整備で、営業活動は属人的にならざるを得ませんでした。
しかし近年では、営業組織は単なる売上追求型から、価値創造型のモデルへと進化しています。変化の激しい市場に対応するには、個人任せでは限界があります。今求められているのは、チームとしての連携力と、一貫した営業プロセスの構築です。
理想的な営業組織が持つべき特徴

この3つを満たす営業組織は、「自律・協働・変化対応力」を兼ね備えた “変化に強く、学び続け、成長を内製できる営業組織” に仕上がります。これは、外的要因に振り回されずに成果を出し続ける組織の理想像とも言えるでしょう。
営業組織の立ち上げプロセスとは
では「理想の営業組織」像はわかりましたが、すでにある組織から理想に近づけるには一朝一夕にはいきません。確実な成果を出すためには、計画的なステップを踏んでいく必要があります。
具体的には、大きく3つのフェーズに分けて考えるのがポイントです。
- 組織内での立ち位置定義
- 業務事前準備
- 運用準備
- 組織内での立ち位置定義
営業組織として、会社の中でどのような役割を担い、どんな価値を生み出すのかを明確にすることは、その後のすべての活動の土台となります。立ち位置を定めることで、目指す方向性や他部署との連携のあり方がブレずに整い、組織全体の一貫性が生まれます。 - 業務事前準備
業務の事前準備では、実際の営業活動をスムーズに進めるために、必要な業務フローや使用ツールをあらかじめ設計・整備しておきます。たとえば、SFAの導入方針を決めたり、商談プロセスを明文化したりするなど、現場での運用を見据えた実践的な準備を行います。 - 運用準備
運用準備では、営業活動を円滑に開始・継続できるよう、実行体制と運用ルールを整えます。中でも重要なのは、PDCAサイクルを継続的に回せる仕組みを構築することです。改善前提の体制を整えておくことで、組織は実践の中で柔軟に進化し、成果を最大化できるようになります。
このように段階的にアプローチすることで、効果的な営業組織の立ち上げが可能になります。まずはこの3つのフェーズを意識して、一歩ずつ着実に進めていきましょう。
立ち位置定義段階のTodo
営業組織の立ち上げにおいて最初に取り組むべきなのが「立ち位置の定義段階」です。
このフェーズでは、営業部門が組織全体の中でどのような立ち位置を担うのか、その役割やミッション、他部署との関係性を明確にしておくことが重要です。立ち上げ後の混乱やリソースの無駄を防ぐためにも、この段階での認識共有と整理は欠かせません。
営業組織を場当たり的に立ち上げてしまうと、経営層の期待とのギャップや、他部門との連携不足による機会損失が生まれやすくなります。
そこでまずは、以下の2つのタスクに取り組みましょう。
- 経営・営業課題の棚卸し
- 目標・ミッション設定
1. 経営・営業課題の棚卸し
まず最初に行うべきは、「なぜ今営業組織を立ち上げる必要があるのか?」という背景や理由を明確にすることです。
たとえば、以下のような課題が挙げられるかもしれません。
- 新規の売上が不足している
- 顧客からの問い合わせやリードに対応しきれていない
- プロダクトは良いが販売体制が整っていない
- 今後の成長戦略に向けて営業力を強化したい
こうした経営課題や営業にまつわるボトルネックを洗い出すことで、営業組織が解決すべき具体的な目的が見えてきます。課題を言語化することで、立ち上げ後の優先順位や戦術も組み立てやすくなります。
2.目標・ミッション設定
課題の棚卸しを踏まえて、営業組織の目標とミッションを明確に設定します。ここで重要なのは、単なる売上目標にとどまらず、「この組織がどんな価値を提供するために存在するのか」を定義することです。
たとえば以下のようなミッションが考えられます。
- 潜在顧客にアプローチして新規売上をつくる
- リードタイムを短縮して商談効率を上げる
- 顧客インサイトを獲得し、マーケ・プロダクト部門に還元する
このように、営業活動の成果と会社全体の成長がどう結びつくのかを明確にすることで、メンバーの行動にも一貫性が生まれ、組織の立ち上げがスムーズに進みやすくなります。
業務事前準備段階のTodo
営業組織の立ち上げをする際、ただ闇雲に準備をしてしまうと、うまく行くものもうまくいきません。
業務事前準備は組織の基盤を形成する重要なステップがあります。この段階で営業プロセスや役割を明確に定義し、効果的な実行体制を構築することが、その後の成功を大きく左右します。
【ステップ①】営業プロセス・役割設計
営業組織を機能させるうえで欠かせないのが、「営業プロセス」と「役割分担」の明確化です。営業とひとくちに言っても、すべての工程を1人で担うのは現実的ではなく、役割ごとに求められるスキルや動き方が大きく異なります。
営業組織においては、大きく分けて「アウトバウンド型(BDR)」と「インバウンド型(SDR)」という2つの役割が存在します。それぞれの特性に応じて体制を設計し、業務フローやKPIを明確にすることで、成果が出やすくなるだけでなく、無駄のない効率的な運営が可能になります。
BDRの場合
アウトバウンド営業を担当するBDR (Business Development Representative)は、リストや市場調査に基づき、積極的に見込み顧客へアプローチする能動的な営業活動を通して、新規開拓の専門家として市場を開拓していく役割を持っています。
| フェーズ | 具体的なアクション | KPI | 成功のポイント |
|---|---|---|---|
| 準備フェーズ | ・ターゲット企業リストの作成 ・企業情報の収集と分析 ・アプローチ計画の立案 | ・ターゲットリスト数 ・情報収集完了率 | ・明確な選定基準の設定 ・効率的な情報収集手法の確立 |
| 実行フェーズ | ・初期コンタクト ・ニーズヒアリング ・商談設定 | ・コンタクト数 ・アポ獲得率 | ・効果的なスクリプトの活用 ・反論対応力の向上 |
アウトバウンド営業を成功させるためには、単に数を打つのではなく、戦略的に準備を行い、実行フェーズでは顧客の課題に寄り添ったアプローチをすることが不可欠です。BDRは、ターゲットの精度と商談の質を高めることで、営業組織全体の成果を底上げする重要な起点となります。
SDRの場合
インバウンド型を担当するSDR(Sales Development Representative)は、マーケティング施策から生まれた問い合わせや資料請求などの反応に対して対応し、見込み顧客との接点を通じて商談へとつなげる役割を担います。
この役割では、THE MODEL式のアプローチに基づき、マーケティングチームからトスアップされたリードを迅速かつ丁寧にフォローし、ニーズの把握や情報提供を行いながら、商談化率を最大化することが求められます。
組織の規模や商材の特性に応じて、BDR(アウトバウンド)とSDR(インバウンド)の比重は変化しますが、SDRが担う「受け止めて育てる」プロセスは、効率的かつ継続的な営業サイクルを支える重要な要素となります。
| フェーズ | 具体的なアクション | KPI | 成功のポイント |
|---|---|---|---|
| 準備フェーズ | ・リードスコアリング ・優先順位付け ・マーケティング施策の理解 | ・リード評価完了率 ・リード選定精度 ・スコアリング精度 | ・評価基準の明確化 ・効率的な選別プロセス ・マーケティングとの連携強化 |
| 実行フェーズ | ・リードへの初期コンタクト ・ニーズ確認 ・商談設定 | ・初期レスポンス時間 ・コンバージョン率 ・商談設定率 | ・迅速な初期対応 ・効果的な価値提案 ・ニーズの的確な把握 |
インバウンド型営業におけるSDRの活動は、単なる反応対応ではなく、見込み顧客を育て、最適なタイミングで商談へとつなげるための戦略的なプロセスです。THE MODEL式の考え方を軸に、マーケティングと連携しながらリードの質を高めていくことで、営業全体の成果を安定的かつ持続的に伸ばしていくことが可能になります。
【ステップ②】営業戦略策定
営業組織の立ち上げにおいて、立ち位置の定義を終えた後に取り組むべきなのが、「営業戦略の策定」です。
このステップでは、誰に・何を・どのように売るのかといった全体方針を明確にし、営業活動の軸を築いていきます。市場環境や顧客ニーズを踏まえたうえで、適切なターゲティング・ポジショニングを行い、競合との差別化を図ることが不可欠です。
戦略の精度が、その後の組織設計・プロセス整備・成果にも大きな影響を与えるため、曖昧なまま進めるのではなく、論理的かつ実行可能な方針を練り上げることが求められます。
【ポイント①】定量的目標
【ポイント②】営業戦略の構成要素
【ポイント③】戦略を文書化する
【ポイント①】定量的目標
営業戦略の第一歩は、達成すべき定量的目標を明確にすることです。
- 売上高
- 顧客数
- 商談成約率
- 顧客維持率
目標は、現実的でありながら挑戦的な水準に設定し、組織全体で共有することが重要です。
【ポイント②】営業戦略の構成要素
営業戦略を具体化する際には、以下のような要素を組み合わせて設計していきます。
- 顧客セグメントの明確化
どのような業種・企業規模・地域・課題を持つ顧客にアプローチするのかを明確にします。セグメントごとに戦い方を変えることで、無駄のないアプローチが可能になります。 - 商材の打ち出し方の設計
売り出したい商材を絞り込み、それがどのターゲットに最も刺さるかを定義します。主力商材とクロスセル商材の役割を整理することも有効です。 - アプローチ手法の選定
テレアポ、メール、セミナー、紹介など、どのチャネルを中心に使うかを明確にし、セグメントごとに最適な手段を設計します。 - アポイントの質の定義
単なる面談数ではなく、「意思決定者が参加しているか」「具体的なニーズが明確か」といった、アポイントの質にも基準を設けます。 - 商談のスタンスと進め方
課題解決型か、プロダクト特化型か、価格訴求型かなど、商談時の進め方・価値訴求のスタンスを明確にしておくと、属人的なばらつきを防げます。
【ポイント③】戦略を文書化する
戦略は頭の中にあるだけでは機能しません。以下のような形で文書化して、関係者間で共有・レビューを行いましょう。
- SWOT分析レポート
- 戦略目標書(数値目標・達成期限・KGI/KPIなど)
- 営業戦略計画書(ターゲット、チャネル、アクションプラン)
これらのドキュメントがあることで、戦略が「言語化」され、メンバー全体の認識を一致させることが可能になります。
営業戦略を策定するうえでは、目標の立て方からターゲットの切り分け方、アプローチ手法の設計に至るまで、多岐にわたる要素を一貫性を持って整理することが求められます。
より具体的な営業戦略の立て方については、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご参照ください。
営業戦略の立て方5ステップ。事前準備からフレームワークまで紹介
【ステップ③】メンバーアサイン
営業組織の成果を左右する重要な要素として、適材適所のメンバーアサインがあります。
単に営業経験の有無だけでなく、各役割に求められる適性や能力を明確にし、組織全体としての最適化を図ることが重要です。
| 役割 | 求められる適性 | 評価ポイント | アサイン時の注意点 |
|---|---|---|---|
| BDR | ・主体性とチャレンジ精神 ・高いコミュニケーション力 ・論理的思考力 | ・新規開拓への意欲 ・目標達成への執着心 ・学習意欲 | ・過去の実績より適性重視 ・成長意欲の確認 ・チームとの相性 |
| SDR | ・傾聴力と分析力 ・顧客志向の姿勢 ・提案力 | ・顧客理解度 ・情報整理能力 ・解決策提示力 | ・インバウンド対応経験 ・マーケティング知識 ・提案スキル |
メンバーアサインでは、BDRには新規開拓への意欲と主体性を重視し、SDRには傾聴力と分析力を重視します。
両者ともコミュニケーション能力は必須ですが、その方向性は異なり、BDRは能動的な働きかけ、SDRは顧客ニーズの理解と的確な提案力が求められます。適性を見極めた上で適切な役割へ配置することで、組織全体のパフォーマンスが向上します。
【ステップ④】営業ツール整備
営業活動の効率化と品質向上には、適切なツールの選定と活用が欠かせません。導入する際は、組織の規模や業務プロセスとの整合性を十分に検討する必要があります。
| ツール分類 | 主な機能 | 選定ポイント | 導入効果 |
|---|---|---|---|
| SFA/CRM | ・顧客情報管理 ・商談進捗管理 ・案件管理 | ・使いやすさ ・カスタマイズ性 ・他ツールとの連携 | ・業務効率化 ・データに基づく意思決定 ・ナレッジ蓄積 |
| コミュニケーションツール | ・社内連絡 ・情報共有 ・ナレッジ管理 | ・リアルタイム性 ・検索機能 ・ファイル共有機能 | ・コミュニケーション円滑化 ・情報伝達の迅速化 ・ナレッジ共有 |
| 提案支援ツール | ・提案資料作成 ・プレゼンテーション ・見積作成 | ・テンプレート機能 ・編集のしやすさ ・共有機能 | ・提案品質の向上 ・作業効率化 ・統一感の確保 |
営業ツールを選定する際は、単に機能が豊富であることだけでなく、自社の営業プロセスとの適合性や操作性を重視して検討することが重要です。
特にSFAやCRMは営業活動の基盤となるシステムであるため、カスタマイズの柔軟性や、他ツールとの連携のしやすさといった観点も踏まえて選定する必要があります。
また、導入後にツールを有効活用するためには、段階的な導入プロセスと、現場メンバーへの十分なトレーニングの実施が不可欠です。単なる導入に留まらず、運用定着を見据えた計画的な展開を心がけましょう。
運用準備段階のTodo
営業戦略や組織設計が整ったら、次は実際に営業組織を稼働させるための「運用準備」に移行します。この段階での準備不足は、運用開始後にトラブルが発生し、営業成果が伸び悩む要因となるため注意が必要です。
【ステップ①】評価制度設計
営業組織のモチベーション維持・成果創出のためには適切な評価制度の設計が不可欠です。評価制度は単に給与・インセンティブに直結するだけでなく、「企業にどのような価値をもたらす行動が求められているのか」をメンバーに伝える役割も担います。
| 評価項目 | 評価指標例 | 目標設定の基準 | 評価ポイント |
|---|---|---|---|
| 定量評価 | ・新規商談数 ・成約率 ・売上達成率 | ・市場環境 ・過去実績 ・組織目標 | ・達成度 ・成長率 ・安定性 |
| 定性評価 | ・提案品質 ・チーム貢献度 ・スキル向上 | ・役割期待 ・キャリアステージ ・組織ニーズ | ・取組姿勢 ・改善活動 ・波及効果 |
評価制度は、業績や貢献度を総合的に把握し、個々の成長を支援するために不可欠です。定量評価では数値的な達成度を基にし、定性評価では姿勢や成長過程を重視します。組織全体の目標に沿った適切な指標設定が重要となります。
【ステップ②】MTG・アジェンダ設計
運用開始後、営業活動を軌道に乗せ続けるためには定期的なミーティング(MTG)実施が欠かせません。
MTGを行うことで以下のような効果が得られます。
- 属人化の防止
- ナレッジ共有
- 進捗管理と早期軌道修正
| MTG種別 | 目的 | 頻度 | 主要アジェンダ |
|---|---|---|---|
| 全体MTG | ・方針共有 ・実績確認 ・課題共有 | 週1回 | ・KPI進捗確認 ・重要案件共有 ・戦略アップデート |
| 1on1 | ・個別課題対応 ・育成支援 ・モチベーション管理 | 週1回/隔週 | ・目標進捗確認 ・課題解決支援 ・キャリア開発 |
効果的なミーティングは、組織内の情報共有と課題解決を促進します。全体MTGでは、戦略や進捗を確認し、共通認識を持つことが大切です。一方、1on1は個別の成長支援や問題解決を目的とし、より密接なコミュニケーションを図る場となります。
【ステップ③】PDCA運用設計
営業組織のパフォーマンスを高めるには、PDCAサイクルを回す仕組み作りが重要です。これを怠ると、同じ失敗を繰り返し、改善が進まない組織になってしまいます。
| PDCA | 実施項目 | 実施頻度 | 具体的なアクション |
|---|---|---|---|
| Plan | ・目標設定 ・戦略立案 ・KPI設定 | 四半期/月次 | ・数値目標の設定 ・アクションプランの策定 ・リソース配分の決定 |
| Do | ・日常活動 ・戦略実行 ・データ収集 | 日次/週次 | ・営業活動の実施 ・進捗データの記録 ・問題点の記録 |
| Check | ・実績分析 ・課題抽出 ・原因特定 | 週次/月次 | ・KPI達成度確認 ・プロセス評価 ・阻害要因分析 |
| Action | ・改善策立案 ・プロセス修正 ・展開計画 | 月次/四半期 | ・対策の具体化 ・実行計画の策定 ・水平展開の検討 |
PDCAサイクルは営業組織の成長を支える仕組みであり、各フェーズでの具体的なアクションが成功に繋がります。目標設定や戦略立案をしっかり行い、日々の活動をデータで確認・分析することで、改善策を明確にし、次のステップに活かします。
【ステップ④】メンバーへの研修実施
営業組織の立ち上げ時に見落とされがちなのがメンバーへの研修実施です。営業現場でよくある失敗として、
- 属人的なやり方がメンバーごとにバラバラになる
- 商談スキルが育たず失注率が高止まりする
- 商材理解が浅く提案の説得力が弱い
といった課題が発生します。これらは研修不足が主な原因です。
運用開始前には次のような研修プログラムを準備し、一定の水準を担保してから稼働を開始することが重要です。
| 研修種別 | 対象者 | 実施内容 | 期待効果 |
|---|---|---|---|
| 導入研修 | 新規メンバー | ・商品知識 ・基本スキル ・業務プロセス | ・早期戦力化 ・基礎力の確立 ・標準化 |
| スキル研修 | 全メンバー | ・提案力 ・交渉力 ・課題解決力 | ・成約率向上 ・顧客満足度向上 ・案件創出力強化 |
| リーダー研修 | 管理職候補 | ・マネジメント ・戦略立案 ・チーム育成 | ・組織力向上 ・マネジメント力強化 ・後継者育成 |
研修プログラムは、組織の営業力向上と標準化に重要な役割を果たします。新規メンバーには基礎的なスキルと業務理解を深めさせ、全メンバーには高い提案力や交渉力を養います。管理職候補向けには、組織運営やチーム育成を強化し、将来のリーダー育成を目指します。
営業組織の立ち上げで徹底するべきポイント
営業組織の立ち上げ後、成果を安定して出し続けるためには「運用設計」だけでなく「日々の管理・改善の仕組み化」が重要です。ここでは、営業組織の立ち上げで徹底しておきたいポイントを5つに整理して解説します。
- モチベーション管理
- ナレッジ共有の仕組化
- 数値ベースで結果を管理
- SFA/CRMツールの活用
- 網羅的な研修設計
モチベーション管理
営業組織のパフォーマンスは、メンバーのモチベーションと密接に関連します。持続的な成果創出には、適切なモチベーション管理の仕組みが不可欠です。
| 施策カテゴリー | 具体的な施策 | 実施ポイント | 期待効果 |
|---|---|---|---|
| 評価・報酬 | ・インセンティブ制度 ・表彰制度 ・昇進機会 | ・公平性の確保 ・明確な基準設定 ・適切な目標設定 | ・業績向上 ・定着率向上 ・組織活性化 |
| 成長支援 | ・スキル開発機会 ・メンター制度 ・キャリアパス | ・個別性への配慮 ・段階的な支援 ・定期的なフィードバッ | ・能力向上 ・自己実現 ・組織力強化 |
営業組織のモチベーション管理では、評価・報酬と成長支援の両輪をバランスよく回すことが重要です。評価・報酬面では、月間MVP制度や四半期ごとの表彰など、短期的な成果認定と、年間を通じた昇進・昇格などの長期的なキャリアパスを組み合わせます。特に、数値目標の達成度だけでなく、プロセスの質や組織への貢献度も評価基準に含めることで、より公平で納得感のある評価が実現できます。成長支援においては、個人の強みや課題に応じたカスタマイズされた育成プランを設計し、定期的な面談を通じて進捗を確認していきます。
ナレッジ共有の仕組化
営業は属人的になりやすい業務ですが、ナレッジ共有を仕組化することで再現性を持った成果創出が可能になります。「ナレッジ」とは、顧客ヒアリングの切り口、商談で刺さるトーク、失注から得られた学びなど、経験の中で得られる価値ある情報全般を指します。
| 共有項目 | 運用方法 | 管理ツール | 活用のポイント |
|---|---|---|---|
| 商談事例 | ・成功/失敗事例の共有 ・ベストプラクティス化 ・定期的な振り返り | ・SFA/CRM ・ナレッジベース ・共有フォルダ | ・検索性の確保 ・更新ルール設定 ・活用促進 |
| 提案資料 | ・テンプレート化 ・業種別整理 ・効果測定 | ・資料管理システム ・プレゼンツール | ・品質の標準化 ・カスタマイズ性 ・最新性維持 |
ナレッジ共有を成功させるカギは、「入力のしやすさ」と「検索のしやすさ」のバランスです。
例えば、商談事例の共有では、案件概要、成功/失敗要因、次回への教訓など、必要最小限の項目を定型フォーマット化することで、入力の手間を減らしつつ、質の高い情報蓄積が可能になります。また、週次の営業会議で優良事例を共有したり、月次でベストプラクティスをまとめ直したりすることで、単なるデータベースではなく、生きた知識として組織に定着させることができます。
数値ベースで結果を管理
データに基づく営業管理は、客観的な評価と改善を可能にします。適切な指標設定と分析体制の構築が必要です。
| 管理指標 | 測定項目 | 分析ポイント | 活用方法 |
|---|---|---|---|
| 活動指標 | ・商談数 ・提案数 ・フォロー率 | ・トレンド分析 ・目標達成度 ・効率性評価 | ・活動改善 ・リソース配分 ・予測精度向上 |
| 成果指標 | ・成約率 ・平均単価 ・顧客満足度 | ・要因分析 ・相関関係 ・改善機会特定 | ・戦略修正 ・施策立案 ・目標設定 |
数値による管理では、インプット指標(活動量)とアウトプット指標(成果)を適切に組み合わせることが重要です。
例えば、商談件数や提案件数といった活動指標と、受注率や顧客満足度といった成果指標を並行して管理します。ただし、数値の追跡だけでなく、定期的な分析会議を設け、数字の背景にある要因を深堀りすることで、実効性のある改善策を導き出すことができます。特に、好調な営業担当者の行動分析から成功パターンを抽出し、組織全体で共有することが有効です。
SFA/CRMツールの活用
営業活動の可視化と効率化には、適切なSFA/CRMツールの活用と定着が不可欠です。
SFA(Sales Force Automation)は営業プロセスを管理・効率化し、CRM(Customer Relationship Management)は顧客情報を管理しLTV向上や関係構築に活用します。
これらを活用することで、顧客情報・案件情報の一元管理、行動データ・成果データの可視化、データに基づく営業の改善(データドリブンセールス)が可能となり、営業組織の「勘と経験頼りの営業」から「科学的に改善可能な営業」へと進化できます。
以下のように案件管理と顧客管理の2つの領域で戦略的に運用することがポイントです。
| 活用領域 | 主要機能 | 運用ポイント | 期待効果 |
|---|---|---|---|
| 案件管理 | ・商談進捗管理 ・確度評価 ・行動履歴記録 | ・入力ルール統一 ・リアルタイム更新 ・データ品質管理 | ・進捗透明化 ・予測精度向上 ・効率的支援 |
| 顧客管理 | ・顧客情報集約 ・接触履歴管理 ・ニーズ分析 | ・情報更新ルール ・セキュリティ管理 ・活用促進策 | ・関係強化 ・機会創出 ・解約防止 |
案件管理では商談進捗、確度評価、行動履歴の記録を徹底し、例えば「30分以内の入力」「週次での確度見直し」など具体的ルールを設けることで進捗の透明化と予測精度向上を実現します。
一方で顧客管理では接触履歴管理やニーズ分析を行い、決裁者の異動や組織変更など重要変化点を確実に記録・活用します。
SFA/CRMツールの活用は単なる入力作業ではなく、関係強化や機会創出につながる戦略的活動として位置づけ、成果に直結させることが重要です。
網羅的な研修設計
営業組織立ち上げ段階で忘れがちなのが「研修設計」です。研修が不十分だと、メンバー間で商談スキル・知識の差が大きくなり、組織全体の成果が頭打ちになります。
| 研修レベル | 対象者 | 習得スキル | 実施形式 | 評価指標 |
|---|---|---|---|---|
| 新人基礎 | 入社1年目 | ・商品知識 ・業界理解 ・営業基本動作 ・ビジネスマナー | ・集合研修 ・OJT ・オンライン学習 ・メンタリング | ・理解度テスト ・ロールプレイ評価 ・実践観察 ・顧客対応品質 |
| 若手実践 | 入社2-3年目 | ・提案構築力 ・商談進行力 ・競合分析力 ・価格交渉力 | ・ケーススタディ ・実地研修 ・グループワーク ・個別コーチング | ・成約率 ・商談数 ・顧客満足度 ・目標達成度 |
| 中堅専門 | 入社4-7年目 | ・戦略的思考 ・業界専門知識 ・プロジェクト管理 ・ソリューション提案 | ・専門講座 ・実践演習 ・外部セミナー ・相互研修 | ・大型案件獲得 ・新規開拓実績 ・提案品質 ・リピート率 |
| 管理職 | 課長級以上 | ・チームマネジメント ・戦略立案 ・組織開発 ・リスク管理 | ・マネジメント研修 ・ワークショップ ・ケースメソッド ・経営塾 | ・チーム実績 ・部下育成力 ・組織貢献度 ・経営指標 |
営業組織における専門的な研修は、提案力、交渉力、業界知識の3つを柱として体系化されています。提案力では、ニーズ分析から提案書作成、ROI算出までを実践的なワークを通じて習得し、案件の採用率向上と大型化を目指します。交渉力は、Win-Win交渉やクロージング手法をロールプレイで徹底的に練習し、成約率と利益率の改善につなげましょう。業界知識については、外部講師による最新動向の解説や実践的な市場調査を通じて、提案品質と商談スピードの向上を図ります。
まとめ

営業組織の立ち上げには、明確な戦略と綿密な計画が欠かせません。組織の設計から人材の選定、目標設定まで、段階ごとに必要なアクションを実行していくことが成功への鍵となります。
弊社株式会社Sales and Innovation Japanでは、これまで200社以上の営業支援、マーケティング支援を実施してきた経験を活かして、企業様の新規事業立ち上げや販路拡大のご支援をさせていただいております。
「どうしたら営業組織を強力な営業組織を立ち上げられるのか」「新規営業の組織を作りたい」など営業でお悩みの際にはお問い合わせお待ちしております


入社2年間営業チームでtoB,toC向け商材の営業を行う。
その後、バックオフィスとして10年以上営業以外全てのサポート業務に従事し、
多数の営業パーソンの起業独立にも携わる。
その他にもマーケティングやリクルーティングも兼任。

