売上向上・顧客アップを成功させる営業戦略とは?目標達成のための流れを解説

企業が長く存続したりコンスタントに成長したりし続けるためには、売上を向上させ、新規顧客を獲得し続ける必要があります。そのために、必要不可欠なのが営業戦略です。ビジネス書にも「営業戦略が大切」と記してあるものがたくさんあります。

その一方で「営業戦略が大切なのは理解しているが、具体的にどうやって営業戦略を立てていけば良いか分からない」と悩んでいる人もいるでしょう。

この記事では、ビジネスを成功に導く営業戦略の立て方を詳しく解説します。営業戦略に役立つフレームワークやサービスも同時に紹介するので、ぜひ参考にしてください。

営業戦略とは

営業戦略とは、自社が保有している営業リソースを用いて達成すべき目標を作ることです。

営業リソースとは、営業資産を指します。一般的な会社では営業にさける予算と人員が「営業リソース」となります。

どのような大会社でも、無尽蔵な営業リソースはありません。自社にどれほど営業リソースがあり、それを最大限活かす方法を考えた結果「我が社は、5年間で顧客を2倍に伸ばす」といった目標を立てるのが営業戦略です。

営業戦略がうまく立てられないと、営業担当者はどこを目指して仕事をすればいいか迷ってしまいます。

営業戦術との違い

営業戦術とは営業戦略を達成するための具体的な手法です。

例えば「3年間で顧客数を2倍にする」という営業戦略を立てた場合、「どうすればその戦略を達成するのか」を考えるのが営業戦術です。山登りにたとえると登る山を決めるのが営業戦略、頂上まで到達する道を決めたり、休憩するタイミングを考えたりするのが営業戦術です。

したがって営業戦術は、営業戦略よりも短いスパンで細かく設定する必要があります。

マーケティング戦略との違い

マーケティングとは、市場を分析してどのようなアプローチをしていけば、自社の商品やサービスの売上が上がるのか考えることです。

例えば子育て中の女性がターゲットの新商品や新サービスを売り出したい場合、どのようなCMを作り、いつそれを流すのか、どこで販売するのか決めることがマーケティングに該当します。

そして、マーケティング戦略が成功した結果、「3年間で顧客数を2倍にする」という営業戦略が達成することもあるでしょう。逆に考えると、「3年間で顧客数を2倍にする」という営業戦略を立て、営業戦術で「子育て中の女性がターゲットの商品やサービスを開発すること」を決め、それを成功させるためにマーケティング戦略を立てる、という道筋です。

つまりマーケティング戦略は営業戦略や営業戦術の一つであり、営業戦略を達成するための手段ということです。営業戦略が決まらなければ、マーケティング戦略も決まりません。

営業戦略を立てる流れ

では、営業戦略はどうやって立てればいいのでしょうか。ここでは、4段階に分けてその方法を具体的に解説していきます。

どうやって営業戦略を立てていけばいいか分からないという方は、この部分を参考にしてください。大まかな流れが把握できれば、応用がききます。

市場調査を実施する

市場とは、自社が戦うフィールドのことです。そこには顧客やライバル会社などが存在します。

市場調査をするということは、以下のようなことを確認することです。

  • 現在、自社の顧客がどのくらい市場にいるのか
  • 将来、自社の顧客になってくれそうな人(見込み客)がどのくらいいるのか
  • ライバル社がどのくらいいるのか
  • ライバル社はどのような営業戦略や戦術を立てているのか

この4つが分かれば、自然に自社がどのような営業戦略を立てればいいのか、道筋が見えてくるでしょう。

現状把握・分析に努める

次に行うのは、現状把握の分析です。具体的にいうと以下のようなものです。

  • 市場における自社の製品やサービスが占める割合
  • 市場における自社の製品やサービスの評判
  • 市場において、自社の製品やサービスにどのくらいの伸びしろがあるか
  • 市場において、ライバル社の製品やサービスが占める割合や評判はどうか
  • 自社とライバル社の製品やサービスの比較

これを行えば、自社製品が市場でシェアを伸ばすために足りないものは何か、が見えてきます。

営業における課題を洗い出す

現状把握や分析ができたら、次は営業における課題をピックアップしていきます。例えば、市場調査と現状把握をした結果、自社製品がライバル社の製品に比べて価格が高く、知名度が低かった場合、以下のような課題が浮かび上がります。

  • 製品製造や流通の過程で価格を抑える営業ができていたか
  • ターゲットに合せた宣伝が適切にできていたか
  • マーケティング戦略が適切だったかどうか

自社の製品がなかなか売れなかったり、知名度が低かったりするのは、世情の変化や社会情勢など人の力ではどうにもならないこともあります。しかし営業における課題を片っ端から洗い出していくことで、自分たちで解決できる問題の把握につながるでしょう。

戦略を立案する

現状を把握し、課題を洗い出したら実際に戦略を立案します。現状がおおむね満足できるものだったら、その状態を維持するための目標を立てます。現状に不満があるならばそれを改善する目標を立てましょう。

営業戦略は実行することが大切

営業戦略は、ただ立てただけでは意味がありません。実行することが大切です。

また営業戦略は、最初から計画どおりにいくとは限りません。一度実行してみて細かい点を改善していく必要があります。

以下のステップを踏んで営業戦略を着実に実行へと移しましょう。

  • ステップ1.実行手段を決める
  • ステップ2.KPIを設定する
  • ステップ3.KPIの進捗を可視化する
  • ステップ4.効果検証・改善を行う

ここでは、各ステップについて詳しく解説します。

実行手段を決める

営業戦略自体は抽象的であり最終的な目標です。いきなり達成しようとしてもうまくいかない可能性が高いです。営業戦略を実行するには、まず実行手段である「営業戦術」を決めることが重要です。

営業戦術には、さまざまなフェーズがあります。

例えば見込み客を可視化するフェーズです。手段としてはリストを作成したり、法人など大口顧客に対してアカウント・ベースド・マーケティングを実行したりします。

続いては顧客との商談に行く場合です。ここでは顧客のニーズをより鮮明に聞き出したり、「ニーズ(満たされていない状態の抽象的な欲求)」を「ウォンツ(ニーズを満たすための具体的な欲求)」に変えたりすることが重要です。

営業戦術は営業戦略よりも具体的かつ短期間で達成できる目標を定めます。小さな目標を定め、達成する方法として営業の仕事をフェーズごとに細かく分けて、目標を定めていくことはとても有効です。

なおこの場合、フェーズ間の連携をしっかりと取れるようにしておきましょう。

KPIを設定する

KPI(Key Performance Indicator)とは「重要業績評価指標」の略です。営業活動が当初の計画どおりに進んでいるかどうかを確認するためのチェックポイントと考えてもいいでしょう。

KPIは目標を達成するためにはどのようなことをすればいいのかという行動指標でもあります。例えば「売上を○%上げる」という営業戦略を立て、そのために「毎月○万円売上を増やす」という営業戦術を立てたとします。この場合、KPIは「新規を毎月1件増やす」といったものです。

こうして目標をさらに細かく設定することで、社員1人1人が実行可能な具体的な目標が見つかります。

KPIの進捗を可視化する

KPIの進捗は可視化できるようにしておきましょう。具体的には毎週報告会を設けて、KPIの進捗を報告し合ったり、売上や新規顧客の数をデータ化したものを誰でも確認できる状態にしたりするなどの方法がおすすめです。

KPIを可視化することにより、目標達成までのプロセスを従業員全員で共有ができます。特に、個人で営業を行っている場合、問題が起こってもなかなか表面に出てこないというデメリットがありますが、可視化すれば問題を初期の内に把握できるでしょう。

またKPIと実際の数値にずれが合った場合は、KSFの修正を行います。KSFとは「Key Success Factor」の略で、最終目標を達成する要因、つまり「戦術」です。KPIにずれが生じているということは、KSFがうまく定められていないので、その理由を突き止め、修正しましょう。

効果検証・改善を行う

KPIを可視化できるようになったら、各戦術をPDCAサイクルに当てはめてスムーズに改善できるようにしましょう。

PDCAサイクルとは、「Plan」「Do」「Check」「Action」の頭文字をとったもので、日本語に訳すとそれぞれ「計画」「実行」「評価」「改善」となります。計画や実行はKPIを定め、実践していく行程です。評価は進捗の可視化に相当します。そして改善していけばより達成がしやすくなるでしょう。

このサイクルを行っていくことで、営業戦術、引いては営業戦略が達成につながります。

営業戦略を考えるときに活用できるフレームワーク

ここでは営業戦略を考える際に活用できるフレームワークを紹介します。フレームワークの特徴や分析できるもの、さらに使用するメリットまで解説しますので、参考にしてください。

3C分析

3C分析は、企業活動における環境を知るために使われるフレームワークです。以下に紹介する環境を定義する要素として「3つのC」を切り口とします。

  • Customer(顧客):主な顧客の性別や年齢を分析する
  • Company(自社):自社の市場における占有率や評判を分析する
  • Competitor(競合):競合の商品が市場に占める割合と顧客からの人気、顧客数などを出す

上記で抽出した項目は、この後紹介するSWOT分析というフレームワークで用いることが可能です。

PEST分析

PEST分析とは、市場・顧客の分析の一種でミクロ分析とマクロ分析の2つを用います。

  • Politics(政治):法律改正・税制改革・政権交代など
  • Economy(経済):金利状況・消費動向・景気・物価など
  • Society(社会):流行・生じ同校の変化・少子化・高齢化など
  • Technology(技術):インフラ・IT化・新技術など

上記の4つはどれも個人の力では簡単に変えられません。いわゆる「世の中の動き」というものです。この世の中の動きを読むことが重要です。またこの4つが自社のサービスや製品にどのような影響を与えるのか把握しておきましょう。

一方、ミクロ分析とは以下の5つのフォースで分析をします。

  • 新規参入企業の脅威
  • 既存の競合他社の脅威
  • 代替品の脅威
  • 買い手交渉力
  • 売り手交渉力

これは、ライバル他社が自社に与える影響です。現状、この5つが自社にどのような影響を与えるか把握しておけば対策が取れます。このミクロ視点は新規の業者が参入してきた場合のリサーチにも役立ちます。

SWOT分析

SWOT分析とは、自社の製品やサービスの強みと弱みを把握し、ライバル会社や法律、市場の流れといった外的要因と照らし合わせて課題を浮き上がらせて対策を考える方法です。

まず自社の製品やサービスの「強み(Strength)」と「弱み(Weakness)」をあげ、それを「外的要因」と「内的要因」に分けます。次に外的要因のプラス要素として「機会(Opportunity)」を、マイナス要素として「脅威(Threat)」を書き出します。

これで「強みを活用して脅威を遠ざける方法」や「弱みを機会に乗じて強みに替える方法」などの戦術をとることが可能です。

そして外部からの出来事を「機会」か「脅威」に分けることで、解決方法がより明確になります。

まとめ

今回は営業戦略を立てるメリットや立て方、実行の仕方などを紹介しました。こうして筋道を立てて実行していけば、初めて営業戦略を立てるときでも理解しやすいでしょう。

しかし立ち上げたばかりの会社など、営業戦略を立てたくてもうまくいかないところもあります。こうした場合は株式会社Sales and Innovation Japanの営業代行サービスをご利用ください。

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